障害者就労支援事業
概要
日本の社会背景として、労働力人口の減少と社会福祉関係費増大の課題が挙げられる。障害者の高付加価値(高賃金・工賃)な就労が促進されれば、両課題解決の一助になると共に、幸福な社会参加ができているという本人達のモチベーションの向上が図られる。
本事業では、障害者の高付加価値就労として3Dプリントサービスビジネスの実現を支援し、「障害のある人が幸せに暮らせる社会創造」を行うことを目的とした事業を実施しています
(1)3Dプリンタによる障害のある人の就労支援の研究
実現可能なビジネスモデル(マーケット,人,設備)を創出することを目標とする.本目標達成のため,ビジネスモデル案を立て,マーケット,人とのマッチング,3Dプリンタの設備・技術などの3つの視点でビジネスモデル案を検証し,実現可能なビジネスモデルを創出する.これらの事業実施において,機械振興協会の技術・ノウハウを活用し技術的課題の解決をはかる研究をしています。
(2)他地域への事業展開支援
これまでの当所に蓄積のある生産技術を活用した3Dプリンタを用いた障害者就労支援事業の成果を、東久留米市内のみならず、他地域に波及させる。
これにより、地域でも要望が高い障害者のモノづくりへの参画を推進する。また、全国各地で3Dプリンタなどの機械技術を活用した障害者就労を実現可能とするための共用マニュアル(教科書)の開発を目指し、障害者が製造業分野で活躍する際の課題の抽出とその解決法につき調査及び実践的検証を行う。
(3)障害者活躍の場の拡大支援
これまでの障害者就労支援事業は高付加価値な就労を実現することを目指しており、光造形プリンタを利用した作業単価が高い領域を中心に検証してきた。このビジネスモデルで仕上げ作業に従事可能な利用者は1~2級の精神障害の方が中心で、繊細な仕上げが要求される光造形の仕上げ作業は知的障害者の方々が携わる就労事業としては難易度が高すぎるとされてきた。しかし厚生労働省の統計によると障害者人口に占める知的障害の方の割合は精神障害の3倍弱と報告されており、東久留米市内の就労継続支援B型事業所の半数が知的障害の利用者対象としているなど、多くの方が参画できるよう、活躍の場をさらに拡大した就労支援事業の構築が必要とされている。また、3Dプリンタ造形物へのニーズを調査してみると、かつては形状確認用の試作造形が中心であったが、近年の3Dプリンタ技術の進歩により高強度の造形が可能な機種が増えており、実際に使用できる部品や最終製品の造形へのニーズが増大してきている。特に炭素繊維を長繊維のまま織り込んで造形できる3Dプリンタの造形物はアルミ合金に匹敵する高強度でありながら仕上げ作業が容易と考えられるため、3Dプリンタ造形サービスの受注可能な領域を広げられるだけでなく、参画可能な障害者の枠を拡大することが期待できる。炭素繊維を利用可能な3Dプリンタを導入・活用を通じた障害者活躍の場の拡大を目指す。
実用化・活動
- 令和元年9月1日 「第46回 国際福祉機器展」出展
- 平成30年9月25日 「第45回 国際福祉機器展」出展
- 平成29年8月3日 「第20回テクノフォーラム 機械技術を用いた福工連携の新しい試み -地域における障害対応と雇用機会の創出-」開催
- 平成29年1月19日 「第19回テクノフォーラム-障害者による3Dプリントサービス始動!-」開催
- 平成28年2月4日 「第16回テクノフォーラム-障害者向け3Dプリントビジネスの試行実験報告-」開催
- 平成26年12月9日 「第12回テクノフォーラム- 3Dプリンタを活用した障害者の就労支援 -」開催
関連項目
- 平成30年1月 「3Dプリンタを活用した障害者就労支援」日本生活支援工業会誌に論文発表
平成29年度 3Dプリント作業の参画者拡大を目指した技術開発補助事業(3819KB)
平成28年度 障害者の生活の質の向上に資する3Dプリンタ出力製品の高付加価値化(2496KB)
お問い合せ先
担当部署:技術開発センター
担当者:藤塚 将行
TEL:042-475-1188
FAX:042-474-1980
e-mail: