異メーカ・新旧多軸加工機向け衝突防止手法に関する研究
1.背景および目的
工作機械の衝突防止方式として、シミュレーションやNC搭載型衝突防止機能などがありますが、事前作成モデルによる検証のため、段取りミスによる衝突を予知できない課題があります。
そこで、段取り直後、素材・治具の形状を3Dレーザスキャナで実測し、その実測情報、NCプログラム、NCの状態などを照合することで、段取りミスによる衝突予知も可能な衝突防止手法を提案し、前進研究で、三軸立型マシニングセンタ向けの「シミュレータ連携型工作機械内衝突チェックシステム」を開発し、実用化研究会で実用化中です。
この実績から、本システムの多軸加工機向け対応のニーズが高まり、多軸加工機向け衝突防止システムの実現を目的とした本研究を実施することにしました。
なお、本研究は、前身研究である平成22年度の情報技術活用による生産現場支援に関する研究 多軸加工機向け衝突防止手法の研究の内容を継続するものです。
2.研究概要
本研究では、図1のように、既設の多軸工作機械に、3Dレーザスキャナや処理用パソコンを後付することで設置可能な多軸加工機向け衝突防止システムを実現します。また、本システムは、NC装置との接続に、ネットワークミドルウェアの標準技術の一つであるORiN(Open Resource interface for the Network)を活用することで、新旧・異メーカの工作機械に設置可能にします。
研究の経過として、前身研究である平成22年度の情報技術活用による生産現場支援に関する研究 多軸加工機向け衝突防止手法の研究で、多軸加工機向け衝突防止システムの基本構想、本システムを実現するための基本処理方式の検討、および基本処理方式の開発を行いました。
具体的には、基本処理方式の一部として、3Dレーザスキャナで計測した点群データを、図2のように、素材、治具、および工作機械構造物などの識別分離する方式である3D構造識別管理手法を考案しました。
本年度は、この平成22年度の研究成果を活用し、多軸加工機向け衝突防止システムのプロトタイプの完成を目指します。
図1 多軸加工機向け衝突防止システムの構想
図2 3D構造識別管理の構想
3.期待される効果
- 要望が高い多軸加工機向けの工作機械内衝突防止手法を提案します。
- 研究成果による多軸加工機向け衝突防止システムを実用化することで、製造業における多軸加工機の安全運用に貢献します。