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表面改質層の機械的特性評価に関する研究(平成23年度研究概要)
1.背景及び目的
近年、各種機械部品から電子材料までの分野において、固体表面の機能性向上のための表面改質技術が注目されています。特に、省エネルギー・低炭素社会へ向けて、摩擦磨耗特性などの機械的特性向上を目的とした硬質皮膜コーティングへの期待が高まっています。しかしながら、摩擦磨耗は様々な物質や機械的作用が複雑にからみあった現象であり、その微視的理解は大変困難であるため、その開発には多くの時間と労力を要する難しい問題です。今後、ますます多様な材料、雰囲気中など様々な摺動条件での適用が期待されることから、摩擦磨耗現象の微視的な理解は省エネルギー・低炭素社会の実現には不可避の必須重要課題であると考えています。
2.研究概要
本研究では、これまで当所が取り組んできた微視的領域の機械特性の評価技術を適用および発展させ表面改質層の機械的特性評価に取り組みます。具体的には紫外ラマン分光顕微分析システムの構築、および原子間力顕微鏡等の高分解表面観察顕微鏡といった観察・分析装置に組み込み可能な小型インデントセルの開発に取りくみます。
3.期待される効果
得られた知見、開発した評価法を用い、部材供給メーカーと協力して、高強度表面改質層の開発を行います。また、現場での評価に不可欠で実用的な小型インデントセルの製品化を検討し、摩擦磨耗面の機械的特性評価法の技術開発を推進します。表面改質層における機械特性の微視的理解およびその評価法の開発は、様々な産業分野への貢献が期待できるものと考えています。
小型インデントセル(完成イメージ)
ターゲットとする領域