ホーム > 技術研究所 > 研究概要 > 動力を必要としない熱制御素子 > 温度制御による加工技術信頼性向上に関する研究(平成21年度研究概要)

温度制御による加工技術信頼性向上に関する研究(平成21年度研究概要)

1.実施内容

わが国の機械工業は国際競争力が激化する中、その環境は厳しさを増す一方であります。その中で経済構造改革を推進し、経済活力の向上を図るための先端的な技術開発、情報化の推進、地域産業活性化のための技術開発、環境問題への取組み、グローバル戦略の推進、国際競争力強化の重要性はますます高まってきています。そのなかで、民生電子機器、サーバー、及び通信設備の小型化により、「機器駆動のための電力」と「排熱を処理するための電力」が飛躍的に増加してきており、機器駆動及び排熱機器の省電力化が急務となっています。この問題を解決するために、流体の潜熱を利用して排熱用冷媒還流の動力を最小限とする技術の開発が求められています。このために、ヒートパイプの技術を応用した無動力の熱制御素子ループヒートパイプ(LHP:Loop Heat Pipe)の研究を行いました。

本年度は、LHP各部の圧力バランスによりLHPの最大熱輸送量を計算し、蒸発器に加えられた熱量を基にLHP各部の熱抵抗とヒートシンクの温度からLHPの動作温度を予測する「LHP設計ツール」を開発しました。本ツールはEXCELインタフェースを有し、EXCEL上で「LHP設計ツール」の入力パラメータ、パラメータデータの入力作業とプログラムの実行と出力データの確認が可能です。図1にEXCEL画面上での「LHP設計ツール」の入出力を示します。

「LHP設計ツール」のEXCELインタフェース
「LHP設計ツール」のEXCELインタフェース

2.期待される効果

本研究における温度制御方式は、温度制御用流体を還流するための動力を必要としないため環境配慮の点で優れています。例えばデーターセンターを例にとって見ると、サーバー50台程度のデーターセンターのブレード内の温度制御を空冷からLHPに換えると年間約84軒の家庭電力が節約でき、大きな省電力効果が期待できます。さらに、住宅用機器の省エネルー化への応用も考えられます。

成果の普及として「基盤的生産技術研究会」中の「温度制御に関する小研究会」のメンバー殿には、本ツールを貸与する予定です。

3. 本事業により作成した印刷物等

(1)報告書

(2)国際会議・国内学会発表

No 題目 発表者名 発表会名 発表日
1 ミニループヒートパイプの伝熱能力 田中清志 第46回伝熱シンポジウム H21.6.4
2 Thermal Performance of the Mini-Loop Heat Pipe (LHP) K.Tanaka ASME 2009 Summer Heat Transfer Conference (2009) H21.7.20