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幾何形状測定の信頼性向上に関する研究(平成21年度研究概要)

1.実施内容

幾何形状測定機は、広く機械産業分野で利用されている測定機であり、幾何形状測定機の高精度化は、品質保証のうえで必要不可欠な要求になってきています。そこで、製造現場(以下 現場環境)での普及度が極めて高い三次元測定機(以下 CMM)および真円度測定機を取り上げ、CMMにおける現場環境の熱による影響の解析、マルチスタイラス測定における位置誤差の評価法および低減法、真円度測定機におけるプローブ校正法の開発、倍率校正用標準(切欠き標準)の最適な形状(直径と切欠き深さ)の提案等を行うことにより、これらの幾何形状測定の高精度化および信頼性の向上を図ってきました。

三次元測定機については、現在までの研究において、企業等の現場においても応用できる簡易で安定性の高いマシンチェックゲージ(図1)による評価法の提案、この評価法を用いて、直角度、目盛誤差の補正法の提案及び温度変化による座標値のドリフトの原因を解明するとともに、温度ドリフト補正法の提案を行ってきました。また、低熱膨張ブロックゲージの目盛誤差からスケール温度計の補正を行ない、普通(鋼製)のブロックゲージの目盛誤差からワーク温度計の補正を行う温度補正法の提案を行ってきました(図2)。

マシンチェックゲージ

図1 マシンチェックゲージ

低熱膨張ブロックゲージと普通(鋼製)のブロックゲージの目盛誤差の比較

図2 低熱膨張ブロックゲージと普通(鋼製)の
ブロックゲージの目盛誤差の比較

さらに、平成21年度は、三次元測定機については、マルチスタイラス測定における幾何偏差量測定の高精度化を実現させるため、プロービング誤差である位置誤差の評価法および低減法を提案するとともに、校正球の位置とワークの設置位置を最適な位置に設置することにより、位置誤差を小さくできることを確認しました。これらの技術により、対象のCMMにおいて、円筒度測定で位置誤差を1.5μm程度改善することができました。

真円度測定機については、周波数解析の結果から切欠き部を構成する角度を大きくすると、波形成分が低周波側に移動することを確認するとともに、ほぼ同じ切欠き深さを有する5mmと40mm直径の切欠き標準を用い回転数による偏りを実測すると、切欠き部を構成する角度が大きくなる5mm直径の切欠き標準の方が±0.01μm程度偏りが少なくなります。これらの結果から、切欠き深さが同じであれば、直径が小さい切欠き標準の方が有利であることが分かりました。

2.予想される事業実施効果

これらが実現されることにより、現在ユーザが使用している測定機の持つ精度以上の高精度化が可能となり、生産現場の製品精度向上が期待できます。

3.本事業により作成した印刷物

(1)報告書

(2)学会発表など

No 題目 発表者名 発表会名 発表日
1 現場環境における三次元測定機の高度化に関する研究-低熱膨張ブロックゲージを用いた温度補正の評価- 大西 徹
高瀬省徳
高増 潔
(社)精密工学会 H21.9.11
2 線形体計測の評価点数と不確かさ 高瀬省徳
大西 徹
高増 潔
(社)精密工学会 H21.9.12
3 現場環境における三次元測定機の高度化に関する研究-低熱膨張ブロックゲージを用いた温度補正の評価- 大西 徹
高瀬省徳
高増 潔
知的基盤部会 計測分科会
形状計測研究会
H21.10.22
4 テーブル回転型真円度測定機の評価事例 高瀬省徳
大西 徹
高増 潔
知的基盤部会 計測分科会
形状計測研究会
H21.10.22
5 現場環境における三次元測定機の高度化 大西 徹
高瀬省徳
高増 潔
地域イノベーション創出共同体形成事業 CMM研究会 H22.3.25