ホーム > 技術研究所 > 研究概要 > 精密計測 > 製造現場の形状計測向上に関する研究(平成20年度研究概要)

製造現場の形状計測向上に関する研究(平成20年度研究概要)

1.実施内容

「ものつくり」を取り巻く環境は急速に変化してきています。それにともない、製造現場における幾何形状測定への要求も、これまで以上に高度で多様なものになってきています。そこで、本研究では製造現場での普及度が高い三次元測定機、真円度測定機及び断面形状測定機を取り上げ、これらの測定機の比較、不確かさを含めたトレーサビリティ及び高精度化が実現できる方法を検討し、その基礎情報を提案します。

三次元測定機については、現在までの研究において、企業等の現場においても応用できる簡易で安定性の高いマシンチェックゲージ(図1)による評価法の提案、この評価法を用いて、直角度、目盛誤差の補正法の提案及び温度変化による座標値のドリフトの原因を解明するとともに、温度ドリフト補正法の提案を行ってきました。

マシンチェックゲージ

図1 マシンチェックゲージ

低熱膨張ブロックゲージと普通(鋼製)のブロックゲージの目盛誤差の比較

図2 低熱膨張ブロックゲージと普通(鋼製)の
ブロックゲージの目盛誤差の比較

さらに、平成20年度は、三次元測定機については、低熱膨張ブロックゲージの目盛誤差からスケール温度計の補正を行ない、普通(鋼製)のブロックゲージの目盛誤差からワーク温度計の補正を行うことにより目盛誤差を減少させることができました。これらの技術により、対象のCMMにおいて、温度補正に使用する温度計を補正することにより、年間の温度変化が10℃以上ある測定環境で目盛誤差を7.4μm/mから1.8μm/mに改善しました。

真円度測定機と断面形状測定機については、測定条件を最適化した断面形状測定機で真円度測定機の切欠き標準の値付けを行う倍率校正法および新しい切欠き標準の形状を提案しました。この倍率校正法および切欠き標準の形状を用いることにより校正の不確かさ(標準偏差0.03μm)を1/2程度改善することがシミュレーションにより確認できました。

2.予想される事業実施効果

これらが実現されることにより、現在ユーザが使用している測定機の持つ精度以上の高精度化が可能となり、生産現場の製品精度向上が期待できます。

3.本事業により作成した印刷物

(1)報告書

(2)学会発表など

No 題目 発表者名 発表会名 発表日
1 現場環境における三次元測定機の高度化に関する研究-温度測定誤差を考慮した温度補正- 大西 徹
高瀬省徳
高増 潔
(社)精密工学会 H20.9.17
2 切欠き標準試料の評価 高瀬省徳
大西 徹
高増 潔
(社)精密工学会 H20.9.17
3 現場環境における三次元測定機の高度化に関する研究-温度測定誤差を考慮した温度補正- 大西 徹
高瀬省徳
高増 潔
知的基盤部会 計測分科会
形状計測研究会
H20.11.27
4 マルチオリエンテーション法による真円度測定事例 高瀬省徳
大西 徹
高増 潔
知的基盤部会 計測分科会
形状計測研究会
H20.11.27
5 現場環境における三次元測定機の高度化に関する研究-目盛誤差の要因となる温度測定誤差の分析- 大西 徹
高瀬省徳
高増 潔
地域イノベーション創出共同体形成事業 CMM研究会 H21.2.17