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現場環境における三次元測定機の高精度化に関する研究(平成19年度研究概要)

1.実施内容

マシンチェックゲージ

図1 マシンチェックゲージ

「ものつくり」を取り巻く環境は急速に変化してきている。それにともない、製造現場における幾何形状測定への要求も、これまで以上に高度で多様なものになってきている。そこで、本研究では製造現場での普及度が高い三次元測定機、真円度測定機及び断面形状測定機を取り上げ、これらの測定機の比較、不確かさを含めたトレーサビリティ及び高精度化が実現できる方法を検討し、その基礎情報を提案する。

三次元測定機については、現在までの研究において、企業等の現場においても応用できる簡易で安定性の高いマシンチェックゲージ(図1)による評価法の提案、この評価法を用いて、直角度、目盛誤差の補正法の提案及び温度変化による座標値のドリフトの原因を解明するとともに、温度ドリフト補正法の提案を行ってきた。

さらに、平成19年度は、三次元測定機については、熱の影響を考慮した温度補正法により、対象のCMMにおいて、温度補正に使用する温度計を最適な位置に設置することにより、1日10時間(室温変化2℃程度)のスチール製ブロックゲージ測定における目盛誤差を8.1μm/mから2.1μm/mに改善した。真円度測定機と断面形状測定機については、最適な切欠き標準の評価法を提案するとともに、真円度測定結果の波形を周波数で分離することにより、測定結果の不確かさを0.5μm程度改善した。

2.予想される事業実施効果

これらが実現されることにより、現在ユーザが使用している測定機の持つ精度以上の高精度化が可能となり、生産現場の製品精度向上が期待できる。

3.本事業により作成した印刷物

<KSK-GH19-2> 計測技術高度化に関する研究

精密工学会誌 Vol.73 No.7 2007:現場環境における三次元測定機の高度化に関する研究(第2報)-直角誤差補正-

測定精度に及ぼす要因
図2 測定精度に及ぼす要因