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微小機械部品評価技術に関する研究(平成17年度研究概要)

1.実施内容

MEMS(マイクロマシン)技術は半導体微細加工技術の応用により近年、急速な発展を遂げています。小型化・集積化・並列化の長所を有することから広い産業分野において大きな発展が期待されます。そのためのMEMSに要求される課題の一つとして、長期実用に耐え寿命予測が可能であることがあげられます。マイクロサイズの材料の機械的性質はその製造プロセスによって大きく異なると考えられることから、微小寸法に加工した部品、あるいはその寸法の材料に対しての力学物性の計測が必要となります。特に製造過程に生じた残留応力や動作時に生じる歪は、MEMS構造の変形・破壊につながることから重要であると考えられます。本研究ではマイクロサイズ材料の応力測定のための要素技術を開発し、微小機械部品評価技術の確立を目的としました。

MEMS評価に関する研究動向・要望などについて、大学・公的研究所・メーカからの調査、評価測定を行うための測定装置・試作機器について検討及び打合せを行い、微小応力測定のための分光装置の高感度・高分解能化のために、実験環境の整備を行いました(図1参照)。

圧力センサメーカよりMEMSデバイスではある圧力センサ試料を提供頂き、典型的なMEMS構造としてダイヤフラム構造の微小変形に関する測定を行いました。また、同様に片持ち梁構造を有するMEMSとして、原子間力顕微鏡のプローブの評価を行いました。

レーザ・ラマン分光顕微鏡システム
図1 レーザ・ラマン分光顕微鏡システム

圧力センサ(外観)   圧力センサ(動作原理)
図2 圧力センサ(左:外観.右:動作原理)

2.予想される事業実施効果

学会などへの報告を発表等を通して、研究成果について広く関心をもっていただいております。今後さらに具体的な問題点への適応を試みることによりMEMSデバイスの信頼性向上に寄与できると考えています。 このような評価手法が確立されることにより、広い産業分野へのMEMSデバイスの発展が期待できます。

3.本事業により作成した印刷物等

(1)報告書

<KSK-GH17-2> 生産機械機能高度化に関する研究(平成18年3月)

(2)解説記事

No. 題目 発表者名 掲載誌名 巻号
1 顕微ラマン分光による微小領域の応力・結晶性評価 山口 誠
斉藤奈美子
飯塚 保
上野 滋
砥粒加工学会誌 Vol. 50, No. 2,(2006) 73

(3)口頭発表論文・誌上発表

No. 題目 発表者名 発表会名 発表日
1 共焦点・ラマン分光複合装置の開発と微小機械部品評価への適用について 山口 誠 砥粒加工学会次世代固定砥粒加工プロセス専門委員会 第2回研究会 17.6.3
2 共焦点顕微ラマン分光によるレーザー誘起リップルの評価 山口 誠
上野 滋
木下敬太
富田卓朗
松尾繁樹
橋本修一
第66回応用物理学会学術講演会 17.9.8
3 研磨レスレンズ金型用超精密旋盤の開発―第4報:レーザ・ラマン分光顕微鏡による加工面観察- 飯塚 保
山口 誠
精密工学会秋季大会 17.9.15
4 半導体表面におけるフェムト秒レーザ誘起ナノ周期構造の顕微分光 山口 誠
上野 滋
木下敬太
村井利彰
富田卓朗
松尾繁樹
橋本修一
2006年春季第53回応用物理学会学関係連合学術講演会 18.3.25
5 共焦点顕微鏡ラマン分光複合装置によるMEMSの信頼性評価 山口 誠
上野 滋
三浦一郎
江利川亘
2006年春季第53回応用物理学会学関係連合学術講演会 18.3.25
6 顕微分光によるフェムト秒レーザー誘起ナノ周期構造の評価 山口 誠
上野 滋
木下敬太
村井利彰
富田卓朗
松尾繁樹
橋本修一
日本物理学会第61回年次大会講演会 18.3.28