グローバル生産における中小企業支援システムの研究(平成15年度研究概要)
従来の企業系列を基にした調達から、世界中に散在した企業から自由に調達や連携したグローバル生産が普及しつつあり、中小製造業にとって、従来の品質や製造技術力の維持と共に、コスト競争力、新規ビジネスや新製品対応などの経営力向上、グローバル生産のサプライチェーン(SC)による製品供給スピード向上が課題です。そこで、日本の製造業で最も裾野が広い数人規模の製造業を対象に、新製品製造に対応可能で、グローバル生産のSCに接続運用可能な製造実行(MES)を支援する情報技術について研究し、中小製造業向けの要素技術を開発します。
具体的には、平成15~17年度の3カ年で、図1および次項目に示す開発を通して、目的とする要素技術を提案します。
(1)生産システム設計の分散シミュレーション技術(分散した工場の最適稼動のための評価技術)
(2)グローバル生産に対応する工場内MES(受発注とMES、MESと機器との情報交換とその運用周辺技術)
上記項目の中で、平成15年度は、(1)では、分散シミュレーションの利用環境整備として、分散シミュレーションを遠隔から設定・起動する設計者支援システムを開発し、ケーススタディの実施により有効性を確認しました。また、(2)では、企業間電子取引の標準仕様のロゼッタネットや、スケジューラ間の情報交換の標準仕様であるPSLXなどを用いた業務計画系と製造実行系の情報連携を実現しました。さらに、運用周辺技術の一部である遠隔監視・保守システムを拡張し、機器の情報記述の標準仕様であるFDMLへの適用開発をしました。
平成16年度は、(1)では、シミュレーション精度向上のために制御情報をモデルに包含した分散型設備シミュレータと、その利用環境である遠隔実行システムを構築します。また、(2)では、MESと機器との情報交換の基盤技術を構築します。
図1 研究概要