研究会・イベントのご報告 詳細
「人工知能・ロボットと生産性・労働市場:産業間比較を中心に」
主催:(一財)機械振興協会経済研究所/共催:独立行政法人経済産業研究所(RIETI) 第480回機振協セミナー「人工知能・ロボットと生産性・労働市場:産業間比較を中心に」開催報告 オンデマンド配信あり | |
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開催日時 | 2025年2月18日(火)15:00~16:00 |
場所 | WEBシステムにより開催(Zoom) |
テーマ | 「人工知能・ロボットと生産性・労働市場:産業間比較を中心に」 |
講師 | スピーカー 兼 モデレータ: 森川正之 機械振興協会 経済研究所 所長 独立行政法人 経済産業研究所(RIETI) 特別上席研究員 一橋大学経済研究所特任教授 |
内容 |
2025年2月18日(火)にWebシステムより、第480回機振協セミナー「人工知能・ロボットと生産性・労働市場:産業間比較を中心に」を開催しました。講師兼司会は、機械振興協会経済研究所所長の森川正之が務めました。当日は、109名にオンラインでご参加いただきました。ご参加いただきました皆様に、厚く御礼申し上げます。【講演内容】本講演は、これまで行われてきた人工知能(AI)やロボットに関する内外の経済分析を概観した上で、日本の企業や就労者を対象に経済産業研究所(RIETI)及び機械振興協会において独自に行った調査に基づく分析結果を報告したものである。本講演の冒頭では、AIやロボットに関する背景や先行研究について紹介した。AIやロボットが生産性を引き上げることにより日本の経済成長率を高めることが期待されている一方、AIが人間の雇用を失わせることへの懸念も強い。そうした中、近年、AIの経済効果について実験的手法による研究が行われている。それら調査はAIが生産性を高めることを示しているが、執筆業務、プログラミングなど特定のタスクを対象にした分析なので経済全体へのインパクトを推察するのは難しい。AIが労働市場に与える影響の研究も見られるが、コンセンサスには至っていない。 このような課題に対し、RIETIでAIやロボットが生産性や労働市場にどのような影響を与えるか、独自の調査を行なった。大学卒や大学院卒の従業員比率が高い大企業はAIを利用している傾向があり、産業別には情報通信産業がAIを多く利用し、製造業はロボットを多く利用する傾向があった。就労者に対する調査では、学歴が高い人や所得の高い人ほどAIを利用しており労働市場における格差を拡大する可能性があること、生産性に対する効果は現時点においてロボットの方がAIよりも大きいことなどがわかった。 機械振興協会経済研究所ではAIやロボットが生産性や労働市場にどのような影響を与えるか、機械工業と他の産業との比較に力点を置いて調査を行なった。機械工業の就労者は、AIの利用者や今後の利用を見込む者のシェアが大きく、AI利用が生産性を高める効果(+0.5%程度)や今後の潜在的な効果(+1.3%程度)は無視できない大きさになっている。同様に、産業用ロボット、サービスロボットの利用も生産性を高める効果(+2.4%程度)があることが試算された。このほか、AIやロボットの利用はフレックスタイムやテレワークといった柔軟な働き方や仕事満足度と正の関係があり、良好なマネジメントや労務管理が職場におけるAIの利用に結びついている可能性が示唆された。 講演後は質疑応答が行われ、今後AIによりホワイトカラー労働者が置き換わる懸念、AIの新製品・サービス創出効果を定量的に計るための方法、成果報酬型のマネジメントを行なっている職場ではAIの利用が進みやすくなる可能性などについて議論が行われた。 ※解像度は画面右下の[360P]をクリックして高画質等にご調整ください。 このセミナーの資料はこちら↓からご覧になれます。 【資料】 |