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「関西製造業のイノベーション活動推進セミナー」

(一社)日本機械工業連合会 ・(一財) 機械振興協会 共催セミナー 開催報告
開催日時 2023年9月8日(金)13:30-15:00
場所 WEBシステムにより開催
テーマ 「関西製造業のイノベーション活動推進セミナー」
内容 【プログラム】
開会挨拶 (一社)日本機械工業連合会 常務理事大阪事務所長 藤下 康

講演1 「関西製造業のイノベーション活動推進調査について」
三菱UFJ リサーチ&コンサルティング㈱大阪本部上席主任研究員 美濃地研一氏

講演2 「ダイキン工業㈱におけるイノベーション創出活動の加速策」
ダイキン工業㈱テクノロジー・イノベーションセンター副センター長執行役員 河原克己氏

閉会挨拶 (一財)機械振興協会 経済研究所 所長代理 理事 北嶋 守

【講演の概要】
2023年9月8日(金)にWebシステムより、(一社)日本機械工業連合会及び、(一財)機械振興協会による共催セミナー「関西製造業のイノベーション活動推進セミナー」を開催しました。
本セミナーは、2022年度に(一社)日本機械工業連合会大阪事務所を事務局として企業のイノベーション活動の現状と課題を検討するために実施された「関西製造業のイノベーション活動推進調査」の調査結果報告として開催されました。当該調査は、政府による「経済財政運営と改革の基本方針2022」で述べられた、「新しい資本主義」を起動するための重点投資分野の一つである「イノベーション」に焦点をあてたものであり、その調査結果を三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社大阪本部の美濃地研一上席主任研究員にご報告いただきました。また、その具体例として、外部環境が急速に変化するなか、自前主義にこだわらず、積極的に「協創」することで、コア技術に磨きをかけ、商品開発や技術開発を加速させることをミッションとしているダイキン工業株式会社の事例を、同社テクノロジー・イノベーションセンター副センター長である河原克己執行役員にご報告いただきました。開催当日は、オンラインで63名の方々にご参加いただきました。ご参加いただいた皆様に、厚く御礼申し上げます。

【講演1】
 「関西製造業のイノベーション活動推進調査」について報告が行われた。そのなかでは、イノベーション推進方策のうち、オープンイノベーションやオープンファクトリーの役割について重点的に解説があった。
 背景として、近年の関西製造業では、企業のオープンイノベーション拠点整備が進展しているほか、企業や行政、金融機関、イノベーション専門サービス提供企業によるシーズ・ニーズのマッチング会等の実施、製造業集積地におけるオープンファクトリーの開催などオープンイノベーションの創出に向けた機運が高まっていることを説明した。
 オープンイノベーションの創出には、人材や知識、アイデアなど社外資源の活用が不可欠である。大阪府内にオープンイノベーション創出施設を開設した企業の1つであるコニカミノルタ株式会社では、オープンイノベーション施設を通じオープンイノベーションに対する取組の可視化、グッドプラクティスの共有、オープンイノベーションコミュニティの拡大、他企業のオープンイノベーションに向けた取り組みのサポート、関西広域での連携による促進などの施策に取り組んでいる。
 また、関西圏や関東圏の製造業集積地においては、製造業の現場を一般市民に公開するオープンファクトリーが盛んにおこなわれているが、企業が参加するには壁があり、取り組み自体が企業の間では認知されず、一般向けのイベント要素が多いため“業務”として訪問することが難しい。他にも、内容的に中小企業側から大企業に向けたアピールが不足している点、あるいは継続的な取り組みとしての常設のコンタクト先がないことなどの課題が散見される。主催者側が大企業のニーズに応じた広報の実施や、大企業向けビジネスに特化したツアーの催行、主催者側が現地でのガイドを確保すること、地域をまたいで、各地の主催者が意見交換する場の設置などの支援施策が必要であることを述べた。

【講演2】
 続いて、ダイキン工業株式会社におけるイノベーション創出活動の実際と課題に関する報告が行われた。ダイキン工業株式会社では、様々な企業・大学・研究機関との連携・提携、融合を通じて新たな価値を、オープンな環境で作り上げる「協創」を技術開発の中心にするという方針を掲げ、自前主義を脱却した「協創イノベーション」に取り組んでおり、2015年にテクノロジー・イノベーションセンターを設立した。
 ダイキン工業株式会社においては、現状好調で成長を続けるコア事業へリソースを集中させてしまうことで、次の事業の柱創出を担うイノベーション部門への資源配分の優先順位が上がらない、イノベーションのジレンマに陥っている。既存事業の「知の深化」と次の事業の柱を創出に挑戦する「知の探索」を両立させる「両利きの経営」を実現するためにオープンイノベーションの活用が不可欠な状況にある。特に「探索」を狙う領域では、いかに少ない内部リソースで大きな外部リソースを活用するかが最大のポイントであると同社では捉えている。
 そして、基幹事業の成長とイノベーション事業創出を両立させるための協創イノベーションとして産学連携を行う際には、①トップから現場までを含めた包括連携、課題解決型の連携、文理部門を融合した連携が必要であること。②イノベーション事業創出の加速に向けては両利きの人材育成や外部連携のスピードアップなどが重要であること。以上の指摘がなされた。