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「コロナ禍における産業の構造的問題と中小企業の戦略的対応」―自動車関連産業の実態調査から―

第456回 機振協セミナーのご報告 「コロナ禍における産業の構造的問題と中小企業の戦略的対応」―自動車関連産業の実態調査から―
開催日時 2023年1月16日(月)13:30~15:00
場所 WEBシステムにより開催
テーマ 「コロナ禍における産業の構造的問題と中小企業の戦略的対応」―自動車関連産業の実態調査から―
講師 岩手県立大学 総合政策学部 准教授                               機械振興協会 経済研究所 特任研究員 近藤 信一
内容 2023年1月16日(月)にWebシステムより、第456回機振協セミナー「コロナ禍における産業の構造的問題と中小企業の戦略的対応――自動車関連産業の実態調査から」を開催しました。講師は、岩手県立大学総合政策学部准教授・機械振興協会経済研究所特任フェローの近藤信一氏にお願いしました。当日は78名にオンラインでご参加いただきました。ご参加いただいた皆様に、厚く御礼申し上げます。


【講演内容】

 報告者は、EV化と電動化という産業の構造変化の中にある自動車産業において、サプライチェーンを支えている下請型中小企業がコロナ禍でどのような構造的な影響を受け、どのように対応しているのかについて、実態調査(半構造化インタビュー)をもとに明らかにしている。コロナ禍による中小企業への影響は、リーマンショックと東日本大震災に比べて、構造的課題に対する影響が大きくなっている。とくに、コロナ禍まで、デジタル技術を活用していなかった業界・企業にとって、コロナ禍は危機意識を持つ契機となった。 また、コロナ禍によるビジネスオペレーションのオンライン化等により、中小企業の経営者は、ステークホルダーの優先順位を変更したり(顧客第一、業績重視から地域第一、従業員・家族第一へ)、手付かずだった経営課題に着手している。さらに、経営者の意識変革により、競争戦略重視の「戦略経営」から経営組織重視の「理念経営」に戦略転換がみられる。 そして、グローバリゼーションによって構築したサプライチェーンがコロナ禍によって影響を受け、中小企業経営者は、国内の地域とのつながりの大事さに気づかされている。その結果、経営の視点が地域外(グローバル)から地域内(ローカル)に向き、なおかつ地域での同業他社との「競争」から「共創」へという戦略転換にもつながっている。 今後の検討課題として、地域やメーカー(親企業・系列)による影響と対応の違いの検討を挙げて、講演を終えた。

 講演後は、積極的な質疑応答が行われた。とくに、製造業中小企業のデジタル化について、各都道府県産業支援センターの関係者をはじめ、参加者・講師との活発な議論が行われた。コロナ禍による製造業への影響は短期的であり、デジタル化をはじめ仕組みそのものを変えるインパクトはない。自動車業界の「三現主義」は、デジタル化を阻害しているといえる。しかし、数は限られているとはいえ、「意識の高い」経営者は、デジタル化の必要性を認識し、コロナ禍前から会社・地域内外と連携しながら実行に移している。「意識の高い」優れた経営者同士の交流がよい相乗効果を生みだすことを、実例をもとに確認し、今後、各地域での進展を期待して講演を終えた。






※動画・資料の掲載は終了しました。