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「介護・ケア分野におけるロボット市場拡大の課題と展望」サービスロボットの市場発展および産業の成長に関する調査研究からの報告

(一財)機械振興協会経済研究所 主催 第451回 機振協セミナーのご報告 「介護・ケア分野におけるロボット市場拡大の課題と展望」 サービスロボットの市場発展および産業の成長に関する調査研究からの報告
開催日時 2022年7月29日(金)13:30~15:00
場所 WEBシステムにより開催
テーマ 「介護・ケア分野におけるロボット市場拡大の課題と展望」サービスロボットの市場発展および産業の成長に関する調査研究からの報告
講師 機械振興協会 経済研究所 研究副主幹 森 直子
内容  2022年7月29日(金)にWebシステムより、第451回機振協セミナー「介護・ケア分野におけるロボット市場拡大の課題と展望――サービスロボットの市場発展および産業の成長に関する調査研究からの報告」を開催しました。講師は、機械振興協会経済研究所の森直子研究副主幹にお願いしました。当日は、51名にオンラインでご参加いただきました。ご参加いただいた皆様に、厚く御礼申し上げます。


【講演内容】

 本講演は、当経済研究所の「サービスロボットの市場発展および産業の成長に関する調査研究委員会(通称「サービスロボット研究会」)による調査研究の中間報告である。本講演では、対人サービスの典型例として、介護・ケア分野を取り上げる。超高齢化社会の日本では、介護・ケア分野の人手不足が深刻化しており、ロボットの導入によって解消しようという機運が10年ほど前に高まった。しかし、“介護ロボット”の活用は一部の種類を除いて進んでいない。本講演では、介護・ケア分野のロボット導入・活用における課題を確認したうえで、市場拡大に向けた提言がなされた。
 ロボット導入・活用における課題は、コスト面(高単価、介護保険適用の壁など)、DX政策との連携不足、単作業ロボット導入による介護事業者側の負担増、人との協業や対人接触に関する技術的制約などがあげられる。これらの課題を踏まえ、以下4つの提言がなされた。

 提言1:介護・ケア分野において「ロボットの導入により人手不足解消を図る」から議論をはじめることを止め、介護・ケア分野におけるロボット活用の仕方を根本的に考え直し、市場拡大の方向性を改めて探るべき

 提言2:“介護ロボット”から“介護支援ロボット”へとニーズを再整理する。さらに、“介護支援ロボット”を導入する現場をタイプ別に整理する

 提言3:DXなどの活用により介護現場の全体的な業務改善を図り、そのなかでロボットの適正な導入を試みる。そのための総合プロデューサー・総合プランナーとしての“目利き”の導入を目指す

 提言4:将来的に実現化されるであろう、ヒトと連携して動作を実行するロボット、ヒトに対して作動するロボットが、介護・ケア分野で導入される時代に備え、開発の活性化とともに安全性基準など制度準備も進める

 講演後は、積極的な質疑応答が行われた。とくに、ロボットの導入が介護現場の生産性向上にどの程度貢献できるのかについて議論された。ロボットは、介護現場が抱える問題を解決するための手段であり、ロボットの導入が目的になってはならない。また、介護者とロボットの協働についても多くの課題が残されている。最後に、こうした介護分野でのロボット活用の諸課題を踏まえたうえで、今後は、対人サービスでのロボット活用から視野を広げ、ロボットが人手不足解消と生産性向上により直接貢献できる様々な分野を同定し、市場形成を議論するとの方向性を説明し、講演を終えた。



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