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DXを実現するための人材育成とアーキテクチャ

(一財)機械振興協会経済研究所主催 第465回機振協セミナー「DXを実現するための人材育成とアーキテクチャ」
開催日時 2023年7月25日(火)13:30~15:00
場所 WEBシステムにより開催(Webex)
テーマ DXを実現するための人材育成とアーキテクチャ
講師 アスカカンパニー株式会社 代表取締役 兼 CTO 長沼 恒雄 氏
内容  2023年7月25日(火)にWebシステムより、第465回機振協セミナー「DXを実現するための人材育成とアーキテクチャ」を開催しました。講師は、アスカカンパニー株式会社  代表取締役兼CTOの長沼恒雄氏にお願いしました。またモデレータは、武蔵野大学国際総合研究所客員教授・機械振興協会経済研究所特任研究主幹の中島一郎氏にお願いしました。当日は、61名にオンラインでご参加いただきました。ご参加いただいた皆様に、厚く御礼申し上げます。

【講演内容】
 本講演では、プラスチック射出成形メーカーとして、プラスチック製品の開発・製造・販売(プラスチック分野)、測定・研究機器・工場自動化に関わる開発・製造・販売・サービス(機器システム分野)、金型・装置のメンテナンスサービス(メンテナンス分野)等の事業を展開しているアスカカンパニー社を事例に、全社的なIoT・AIの利活用と人材育成による中小企業のDX実現に対するヒントを提示した。
 アスカカンパニー社では、生産拠点ごとの機械稼働率の把握や製品検査においてDX化を実現している。特に後者においては、成型機ごとの状態や変化点を記録・比較、カメラによって撮影された不良品画像のデータベース化、工場の空調システムや工作機械のセンシングによって高精度の品質管理や効率的な生産を実現している。
 次に、人材を育成するためのマネジメントの仕組みとして、日常業務などの課題を解決するための手段としての社内教育を行うこと、デジタル化によって部門間や個人間でデータの共有が可能となったことで、チームを核として各部門間が結びつく組織が形成されること、学習と課題解決を核とした人材育成サイクル、デジタル化によって機械の稼働状況などの解析が可能となることでの「見える化」の実現により人の認知能力を向上させ、人と機械の協働の実現が可能になるなどの事例を紹介した。
 最後に、DXを遂行するためのアーキテクチャとして、アスカカンパニーの持つデータなどの資産をアプリケーションによって解析、可視化し新たな価値を創造し、それをステークホルダーに提供しそのフィードバックでさらに成長するという循環構造が重要であることを述べた。
 講演後は参加者からの質問を踏まえて、①DX化への抵抗感を解消するには一挙に導入するのではなく徐々に導入を進めること。②DX関連の外部人材を中途採用し工場内に現場の一員として配置し既存の従業員と共に働くことが重要であること。③外国人人材の活用については国籍や性別といった意識の垣根を取り払うこと。④兵庫県の本社工場と東北工場という複数拠点間でDX化を推進する際のバランスについては各工場が一堂に会する意見交換の場を設けて工場間の技術移転を促進することが重要であること。以上の4点が指摘されセミナーは盛況裏に終了した。


※動画・資料の掲載は終了しました。