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中部から考える金型産業の未来―日本の金型のブランド構築に向けて―
| 機振協講演会in岐阜 中部から考える金型産業の未来―日本の金型のブランド構築に向けて― | |
|---|---|
| 開催日時 | 2025年10月27日(月)13:30~16:40 |
| 場所 | 岐阜キャッスルイン 2階 「末広 中東の間」 |
| テーマ | 中部から考える金型産業の未来―日本の金型のブランド構築に向けて― |
| 講師 | 一般社団法人日本金型工業会 学術顧問 横田 悦二郎 氏 国立大学法人東海国立大学機構岐阜大学高等研究院 地域連携スマート金型技術研究センター 特任准教授 阿部 史枝 氏 法政大学 経済学部 教授 馬場 敏幸 氏 株式会社岐阜多田精機 代表取締役社長 多田 憲生 氏 |
| 内容 |
開会挨拶:一般財団法人機械振興協会 副会長 櫻井 和人 岐阜県商工労働部産業イノベーション推進課 課長 野村 貴徳 氏 パネリスト:一般社団法人日本金型工業会 学術顧問 横田 悦二郎 氏 国立大学法人東海国立大学機構岐阜大学高等研究院 地域連携スマート金型技術研究センター 特任准教授 阿部 史枝 氏 法政大学経済学部 教授 馬場 敏幸 氏 株式会社岐阜多田精機 代表取締役社長 多田 憲生 氏 モデレーター:名城大学経済学部 准教授 太田 志乃 氏 総合司会:一般財団法人機械振興協会 執行理事 兼 経済研究所所長代理 北嶋 守 本講演では、金型産業の現状を踏まえ、日本の金型のブランド構築に向けて大学研究者と金型経営者による2つの講演と、有識者によるパネルディスカッションがおこなわれた。 【講演内容】はじめに機械振興協会副会長の櫻井和人が開会の挨拶をおこなった。機械振興協会の活動や取り組みの紹介とともに、金型産業が中国からの売り込みやトランプ関税などの課題に直面しつつも、日本の機械産業の基盤として不可欠なプラットフォームであることが述べられた。次に岐阜県商工労働部産業イノベーション推進課課長の野村貴徳氏が後援団体を代表し挨拶した。岐阜県は機械産業の集積地であることから、県では製造業の支援に注力しており、特に金型産業については、岐阜県金型工業組合と岐阜県立国際たくみアカデミーの連携による金型教育の実施など人材育成に取り組んでいることなどが紹介された。 続いて講演1では、「鋼に刻むプライド――我が国の金型産業の強みと変革の行方」と題して、法政大学経済学部の馬場敏幸氏が講演した。まずはじめに日本の金型産業が置かれている現状について海外勢の台頭や国内需要減少に伴う状況、また日本の金型産業のこれまでの歩みや欧州とアジアの金型貿易推移など、複数の観点から金型産業を取り巻く現状について説明された。次に日本金型メーカーの特徴については長期的な関係に基づく取引先との信頼関係と高品質要求に対応できる点に強みがあり日本の金型ブランドの構築につながっていることが示唆された。以上の点を最後に踏まえて今後の日本金型ブランド戦略の展望について、従来の「品質こそが最高の営業」に加え、「見える化」「伝わる化」を含めた言語化・数値化によってユーザーに自社の強みを説得的に伝えることの必要性が提案された。 講演2では、「差別化からブランド化へ――金型メーカーの新しい価値創造」と題して、㈱多田精機代表取締役多田憲生氏が講演した。はじめに同社では東海地区の自動車産業と関わりながら品質や納期、価格要求に対応しつつ、他の金型メーカーと差別化を図るために、バリ低減や切削加工の高度化、金属部品の樹脂化など、さまざまな開発研究に力を入れて金型メーカーとしてのブランド力を高めてきた経緯が述べられた。そして現在は、脱炭素社会を実現するべく射出成型システムの省エネなどの取り組みに力を入れており、社会課題解決の取り組み、金型メーカー同士が協創して業界の価値を高めブランド構築につなげていく取り組みなどの必要性が提案された。 講演後は、講演者を含む4人のパネリストにより4つの議題をテーマにパネルディスカッションがおこなわれた。議題1では近年の金型業界を取り巻く国際情勢を鑑み中国の金型メーカーやトランプ関税等への対応策について議論され、中国の金型メーカーの台頭を踏まえ、待ちではなく攻めの営業に転じることが指摘された。議題2では、金型メーカーのデジタル化と熟練技能の継承の現状について議論された。そこでは金型のデジタル化が目的になるのではなく、デジタル化を通じてどのように生産するのかに力点を置く重要性が指摘されるとともに、熟練技能継承の取り組みとしてはOJTの活用が挙げられた。議題3では、大学・高専や公的支援機関の役割などを踏まえながら次世代金型と若手人材の獲得・育成に向けた方策について議論された。また岐阜大学が産官学の拠点となり岐阜の地元企業とともに金型の人材育成に力を入れている点について紹介があり、人材育成のモデルケースになる可能性についても説明があった。議題4では、金型産業のブランド構築力及び政策提言力の強化策について、日本の金型の魅力を如何にして世界に伝えるかをテーマに議論された。その中で、日本の金型の海外販売の重要性が強調されるとともに、国内における金型の知名度の低さが問題点として指摘された。その結果、「PRなくしてブランドなし」を前提に、政策サイドやマスコミなど多方面へのより積極的なPR活動が重要であることが確認された。 以上、3時間10分に及ぶ講演会には関係事業者・中小企業等の団体など77名の方々にお集まりいただき盛況裡に終了した。 ご後援いただきました岐阜県、公益財団法人岐阜県産業経済振興センター 岐阜県中小企業団体中央会、国立大学法人東海国立大学機構岐阜大学高等研究院地域連携スマート金型技術研究センター、岐阜県金型工業組合、岐阜大学次世代金型研究会の皆様、当日ご参加いただきました皆様に心より御礼申し上げます。
パネルディスカッションの様子 ※解像度は画面右下の[360P]をクリックして高画質等にご調整ください。 ※解像度は画面右下の[360P]をクリックして高画質等にご調整ください。 ※解像度は画面右下の[360P]をクリックして高画質等にご調整ください。 |















