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「 ウイズ・アフターコロナ時代におけるものづくり企業から見た医療機器産業 」
WEB講演会開催 第433回 STEP セミナー 「 ウイズ・アフターコロナ時代におけるものづくり企業から見た医療機器産業 」のご報告 | |
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開催日時 | 令和3年3月9日(火)14:00~15:30 |
場所 | Web システムにより開催( CISCO Webex ) |
テーマ | 「 ウイズ・アフターコロナ時代におけるものづくり企業から見た医療機器産業 」 |
講師 | 機械振興協会経済研究所 特任研究員 相模女子大学人間社会学部社会マネジメント学科 准教授 山本 匡毅 氏 |
内容 | 3月9日(火)にWebシステムにより相模女子大学人間社会学部社会マネジメント学科准教授(兼、一般財団法人機械振興協会経済研究所特任研究員)山本匡毅を講師として、第433回STEPセミナー「ウイズ・アフターコロナ時代におけるものづくり企業から見た医療機器産業」を開催致しました。当日は、全体で35名のオンラインによるご参加を頂きました。ご参加頂いた皆様には、厚く御礼申し上げます。 【講演内容】 コロナ禍は、感染リスクを恐れた外来患者数や手術件数、健康診断受診者数の減少などによる医業収支の悪化、さらには手術・検査関連などを扱う医療機器メーカーの減収減益をもたらしている。一方で、コロナ対策で必要とされる人工呼吸器などの医療機器や衛生材料は不足し、国内生産が少なく、そのため海外メーカーに大きく依存する医療機器産業の課題が明らかとなった。また、こうした状況に対応するべく他産業から医療機器産業に参入するケースが見られたことで、例えば、世界的な大手自動車メーカーが中小の国内向け医療機器メーカーを支援するという動きが出てきている。しかしながら、医療機器産業が、自動車産業などと異なり規模の経済性が働き難い構造を有していることに変わりはない。加えて、医療機器産業が、自動車産業に比べて多品種少量生産を基本としていることや、厚生労働省への許可や届出が必要であるなど安全基準が高いこと、医療機器産業に特化したサプライヤーが多く他産業との接点が低いこと、グローバル市場への参入が少なく国内市場向けが中心であること、一般消費者向けよりも医療機関向けの製品(B to B)が多いことなどの違いを有していることが、今後、自動車などの他産業から新規参入を促して医療機器産業をさらに発展させようとする際の足枷になる恐れがある。従って、今後、市場規模の小さい医療機器産業においてグローバル市場で展開し得るメーカーを育成するには、特定領域に強い「中堅企業」や競争力・独立性の高い「グローバルニッチトップ企業」を育成し、市場規模よりも市場占有を目指すべきである。医療機器への需要回復が期待されるアフターコロナを見据えた構造転換が求められる。 講演後は、参加者との積極的なディスカッションが展開された。まず、(1)薬機法などの規制が医療機器産業拡大の足枷になるのではという質問に対しては、ルールさえ守ればマイナスにはならず、むしろ差別化の手段として前向きに捉え、利用するべきであるという回答が行われた。また、(2)エレクトロニクス分野の医療機器参入の可能性についての質問に対しては、一時的な規制緩和により認められている遠隔診療が定着すれば可能と考えられ、保険診療に関わるルールをどう変えていくかが大事な論点であるという回答が行われた。さらに、(3)日本の産業政策に関する質問に対しては、医療機器メーカーを育成するための施策が不十分であり、ベンチャー企業が生まれエコシステムが形成されるための支援を行うべきという回答が行われた。その他、自動車産業や海外市場との関りについて様々な見地から質疑応答や意見交換が行われ、今後の研究の発展のために活用されることとなった。 このセミナーの資料は こちらからご覧になれます。 |