調査研究報告書 詳細
企業の過剰能力と生産性回復への課題
報告書No. H11委−23
発行年月 : 平成11年9月
株式会社 富士通総研
Ⅰ 主要目次 | |
第1章 | 過剰供給能力の実態について ―― 最適要素投入量からの乖離 |
1. | 「過剰問題」の考え方 |
2. | 利益最大化基準から見た過剰の実態 |
第2章 | 過剰能力削減の経済効果 ―― マクロモデルによる分析 |
1. | モデルの考え方 |
2. | 試算結果とインプリケーション |
第3章 | 政策的なインプリケーション |
1. | 過剰設備の解消を促進する方策 |
2. | ヴィンテージに関する補論 |
3. | 過剰雇用の解消を促進する方策 |
4. | 中長期的な競争力の視点と望ましい政策の方向性 |
Ⅱ 概要 本調査研究では日本経済の回復にとって足かせとなっている企業の過剰供給能力に焦点を当てている。まず、企業部門が現在抱えている過剰供給能力を不採算に陥っている生産要素と定義した上で、過剰設備・過剰雇用のレベルを企業財務データから計測した。その結果、過剰能力を抱える企業の過剰分だけを集計したグロスの過剰は、全企業の集計値であるネットの過剰を大きく上回っていることがわかった。このことは資本・労働力といっ経営資源の流動化が生産性の回復にとって非常に有効な手段であることを示唆している。次に、これらの過剰を削減した際の効果を企業レベルの効率改善効果・マクロ経済への波及効果の両面から試算した。“リストラ効果”をマクロレベルで見ると、短期ではデフレ圧力が強いものの、中長期となるにしたがってプラス効果が次第に浸透してくる。このため、短期のデフレ圧力を回避しながら中長期的にはリストラのメリットを享受できるような方策が必要になる。こうした考え方に基いて、流動化策、設備の廃棄・償却、雇用創出策の方向性について提言を行なっている。 |