調査研究報告書 詳細
わが国機械産業の展望と新産業創生―似非成熟からの脱皮とEHC―
報告書No. H15-1
発行年月 : 平成17年3月
Ⅰ.主要目次 | ||
第1章 | 超高齢・半端規模・孤立国への門口に立つわが国―制約とその突破方向 | |
1節 | 日本に押し寄せる将来制約と対外比較 | |
2節 | 繁忙の高齢社会か | |
第2章 | 機械および関連産業の将来予測とその限界 | |
1節 | 既存の展望とその検討 | |
1)マクロからの接近例 2)若干の業種別展望の例 | ||
2節 | 経済研究所推計 | |
1)中期マクロ展望からの推計 2)機械産業の伸悩み猶予期間逆算 | ||
第3章 | 機械情報産業新生の前提と課題 | |
1節 | 90年代「日本機械産業」の競争力と問題点 | |
1)競争力観察 ―― 企業レベル視点から | ||
2)競争力観察 ―― 国内立地・貿易視点から | ||
3)問題の中間集約(集中の不足) | ||
2節 | 90年代世界ビジネス環境変化からみた問題点 | |
1)「壁」の崩壊とIT製品産業からの「相補型ビジネス」示唆 | ||
2)日本側問題再論と問題小括(イノベーション) | ||
3節 | 雇用・労働を軸にみた国内機械産業の現状と今後の課題 | |
1)はじめに | ||
2)企業組織の再編と変りつつある従業員の働く環境 | ||
3)生産革新と変りつつある従業員の働く環境 | ||
4)おわりに ~ モノづくりの視点からみた残された課題 | ||
第4章 | 似非成熟の既存大企業本位社会を脱して新産業創生へ | |
1節 | ビジネスモデルと就業の多様化を求めて | |
1)問題の背景 ―入退出「罰金」制による低い流通性とガバナンス麻痺 | ||
2)市場展望と目指す姿の提案(日本発の相補型ビジネスモデル) | ||
2節 | 具体実験とその効果:EHCビジネス・モメントの提案 | |
結びにかえて ― 新たな「公」と市民革命 | ||
付属資料 |
Ⅱ.概要 本報告書はシリーズとしてわが国機械産業・企業の競争力問題を調査してきた3ヵ年の成果を一旦総括するものである。戦後日本経済や機械工業が、「若い」労働力を多用しながら長期雇用、年功賃金のもとで発展したのに対し、90年代にはそうした発展に限界が生じ、また労働力構成も今後一層高齢化すると見込まれる。「若い」戦後的発展と異なる今後の“産業的深化”は、戦後来の体制からの「脱成熟」=「新生」が必要になる。さて、今後の超高齢社会を展望すると、意外にも忙しい社会になりそうであり(1章)、労働力は現在の過剰傾向から不足傾向に転じるとみられる(2章)。その中で機械産業は、女性や高齢者を含む多様な主体を活かしながら、国内の付加価値額を伸ばしつつ、就業者1人あたり付加価値生産性の伸びを牽引する役目を期待されている。市場面からみても、狭義機械ハード市場は伸びに一定の限界があろうが、企業は機械“情報”企業として成長可能であろう(2章等)。しかし、90年代日本の機械産業・企業の業績はおしなべて勢いがなく、踊り場に立ったことは否めない(3章)。その原因を踏まえるため、90年代世界ビジネス環境の変化からIT製品産業の構図までを検討し、問題を「集中とイノベーションの不足」に絞った(3章)。その上で日本の機械製造大企業が殆ど製品面のタテ割りから成り、ビジネス活動の一部機能に特化した大企業が少なく、その点がベンチャーにも不利に働いているとして、日本発の「相補型ビジネスモデル」を創発すべきこと、さらに「EHCビジネス・モメント」といった“テーマ割り”の具体政策が必要との提案でまとめた。 |