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調査研究報告書 詳細

わが国機械情報関連メーカーにおけるグローバル展開のタイプについて―アジアとの「共進化」への挑戦―

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報告書No. H18-2
発行年月 : 平成19年3月



【主要目次】

第1章 問題提起 ― 世界の変化とわが国機械情報関連メーカー ―

第2章 日本式のグローバル展開(対外移植)とその限界をめぐって

結びに代えて

付属資料

【概要】 

 近年の世界経済の変化は凄まじく、BRICs台頭「後」が語られるほどアジアや東欧の経済拡大スピードは速く、「世界のフラット化」が、―先進/途上地域を問わず内部格差の拡大を伴いながら―、進んでいる。日系機械・電子関連メーカーにおいては、世界の途上地域の中でもとりわけアジア市場が重要だが、アジアでも現地系企業が、米欧系企業と巧みに結びつきながら急成長するなど、分野によっては日系企業にとって脅威になりかねないケースも出始めている。
 こうした経営環境にあっても、自動車や一般機械等におけるわが国メーカーの国際競争力は、現在までのところ“概して”強く、したがってそのアジア展開のあり方も、基本的には国内で築いた製品や事業方式の対外移植というかたちが主流であったと言えよう。
 だが、用いる技術が膨大になると同時に変化が速くなり、またヒト・モノ・カネといった経営資源のグローバルな往来と結合が柔軟に進むようになり、事業面でもグローバリゼーションの影響を受け易くなるにつれ、電子情報技術分野のように、アジア等海外メーカーに対するわが国メーカーの優位性は、保持しづらくなる傾向がある。さらにアジアの購買力膨張は、さまざまな面でアジア現地側の発言力を高める。そこでは従来的な、「日本発のグローバル展開」という国際展開のあり方だけでは、限界が大きくなってくる。
 よって今後は製品面でも事業方式面でも、アジアのヒト・モノ・カネを、日本国内に持込むかたちの「逆流的な統合進化」、「アジア要素持込型の融合」が重要になる。
 しかし、今回実施したヒアリングおよびアンケート調査においても、日系機械・電子関連メーカーの多くは、本社人事面などを筆頭として、設計・開発活動などにおける選択的な現地化を含め、アジアのヒト・モノ・カネを日本国内(本社)に取り込むといった逆流的な統合進化には程遠い現状にある。課題山積とも言えるが、見方を変えれば、従来と異なるタイプの製品開発、事業開発のあり方を、日系機械・電子メーカーが展開する機会が訪れているとも言えよう。
 「東アジア経済地域」といった経済地域構想は、製造業の実態においても、以上のような企業・事業の新しいあり方を含めて進展するのでなければ(すなわち日本発アジア展開のタイプだけに終始するならば)、一段の質的展開を遂げにくくなろう。その場合、アジアで成功する日系メーカーは、米欧系メーカーやアジア現地系メーカーに比して限られることになりかねないし、この地域の機械・電子製造業における新しい質的展開に、日系メーカーが寄与する度合いも小さいものとなりかねない。