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調査研究報告書 詳細

自動車関連部品の取引環境および企業関係の変化とその課題

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報告書No. H19-3
発行年月 : 平成20年3月



【主要目次】

序章 本調査研究の問題意識

第1章 自動車部品取引環境・企業間関係を巡る環境変化

第2章 次世代自動車と新たな産業組織の形成

第3章 自動車と電機・電子産業の新たな企業間関係の構築に向けて― 電気・電子産業からみた自動車のエレクトロニクス化の商機と課題

第4章 マツダ・サプライヤーの経営戦略

第5章 自動車のエレクトロニクス化と先端技術開発協業

終章 自動車部品産業の取引環境の変化が企業間関係に与える影響と課題

【概要】 

 バブル崩壊や合従連衡などを背景に、日本的なサプライヤーシステムの見直しと欧米的なサプライヤーシステム構築への圧力が拡大していった。系列解体や世界最適調達へのベクトルはその現れの1つともいえる。こうした流れを一面では受け入れつつも、明らかに系列を強化し、グループとしての結束を重視する動きが強まったことも事実である。背景には自動車産業を巡る技術革新がある。さらに、90年代以降欧米メーカーに始まったモジュール化の進展は世界的に従来の組立メーカーとTire1、Tire2の関係に新たな再編をもたらしただけではなく、開発体制を巡るサプライヤー間の関係に影響を与え、自動車部品の取引環境を変化させることとなった。

 加えて、環境・安全、情報化をキーワードとした苛烈な競争が、サプライヤーの取引環境に決定的な影響を与えている。将来的な無排出ガス車(ZEV)の方向が不透明な中で、エコカーを巡る競争はハイブリッドとクリーンディーゼルの争いに焦点が当てられており、安全については衝突安全から予防安全を組み合わせる方向が重視されるようになっている。情報化については従来のメカニカルな装置からマルチメディア化、インテリジェント化へと変化しているのが現状である。こうして、自動車はますますエレクトロニクス化を軸とした技術革新を進展しており、従来の自動車部品産業の取引環境を大きく変化させている。
 
 さらに、自動車メーカー側からの原価低減圧力は大きなものがあり、サプライヤーとしてもそれに対応するだけの努力とその実現を図ってきた。今後はそれとは次元を異にする「価格破壊」が自動車産業でも進展する可能性がある。グローバル市場における低価格車への流れは1つの潮流となっている。今後は先進国メーカーにおいても途上国における低コスト部品生産を活用した車作りが必要となる。今後はサプライヤーの取引環境をますますグローバル化へと駆り立てることになるだろう。

 サプライヤーの視点から自動車部品取引環境の変化を見てみた場合、今後とも競争力を維持し、生き残るためには、組立メーカーの要求に適応するため自らのコアコンピタンスを明確にし、自社で不足する能力については国内外の企業との連携も含めてこれを強化することが求められる。特に、今後グローバル市場で進展する「価格破壊」に対応するには、途上国への進出や現地メーカーとの連携も視野に入れた対応が迫られる。