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調査研究報告書 詳細

機械関連企業を取り巻く流通環境とその情報化―中国内鉄道・水上貨物輸送の現状と情報化課題―

報告書No. H10-2
発行年月 : 平成11年5月



Ⅰ 主要目次
序 章  中国の鉄道貨物・内航水運とその情報化
第一章 鉄道貨物輸送の現状
第二章  内航水運の現状
第三章 鉄道と水運における情報化の課題と展望
 参考1:中国鉄道・内航水運に関する法律(訳)
 参考2:在中日系運輸企業・機械関連企業アンケートより   
Ⅱ 概要
 日本の情報産業が中国展開を進める際、物流産業は一つの注目すべき領域である。本調査では、中国において日本の情報システムが将来適用される可能性のある物流産業につき、中国における実態を明らかにした(加えて物流産業に従事する中国進出日系企業の意向、および物流サービスを受ける側の在中日系機械関連企業につき簡単な調査も行った)。中国は鉱物資源、穀物、雑貨、日常工業品の産地と消費地が離れているため、東西と南北の遠隔貨物輸送量が極めて大きく、鉄道と内航水運はもっともその輸送に適応している。中国政府は、GDPの成長率以上に交通通信への投資率を高く設定してきたが、投資の重点は道路建設に対するもので、他方1978年から97年にかけ貨物輸送量は5倍強も増加した。結果として、貨物の8割近くがトラック輸送によって担われることになった。本来、輸送コストなどから比較すると、鉄道、水運はトラックよりはるかに安いが、鉄道、水運インフラなどの脆弱さが、貨物輸送をよりトラックに傾斜させた。中国の鉄道網の密度は貧困で、長江流量の半分しかないミシシッピー川の年間貨物輸送量が長江の10倍にあたる。これらデータから見れば、今後、鉄道・水運インフラに対する投資はますます重要になるだろうと思われる。その際、物流近代化は情報化を伴いながら進められよう。効率的な物流体制は、線路等の物的インフラだけでなく、情報化によって実現される必要がある。すでに信号の自動化、電話の普及、乗車チケット販売のオンライン化、衛星通信の導入などが進んでいるが、今後はさらにコンピュータ・ネットワークの普及等によって輸送の効率化を実現していく必要がある。中小零細の船会社にとっても、かつて高嶺の花であったパソコンが、近年では一応購入できる程度になっている。残された問題はいかにしてそれを業務に取り入れるか、ということである。
 21世紀に入ってからの10年間に中国政府は、交通インフラ整備のため3000億ドルの投資を行うと表明しているが、その資金需要は膨大である。WTO加盟後は、外国の技術・資本が中国市場に参入し易くなることもあり、直接投資から資金貸付まで、外資は重要な役割を果すだろう。特に日本の鉄道技術、内海水運などの技術は信頼されるものである。また日本は現在有利な投融資先が不足して資金余剰が続いている。今後は日本の技術・資金が、中国の鉄道・水運の近代化のため活用されることができよう。
 最後にWTO加盟後、外資に残される問題は、中国の“地方政府”が中央政府と必ずしも一致した見解をもたないことで、地方政府の問題は今後一層重要になろう。