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調査研究報告書 詳細

「ネット調達」がモノ作りに与える影響

報告書No. H13-3
発行年月 : 平成14年4月



Ⅰ.主要目次
第1章 「ネット調達」の現状と課題
第2章 電子部品・デバイス部門における調達の電子化
第3章 エレクトロニクス産業における「ネット調達」 ―完成品メーカーの事例を中心に
第4章 自動車産業等における調達の電子化と「ネット調達」の進展状況
第5章 「ネット調達」の進展とモノ作り
第6章 まとめ -「ネット調達」とモノ作り
Ⅱ.概要 
 インターネット環境を利用する調達=「ネット調達」の効果や可能性について、委員会また企業におけるヒアリング調査を実施した。調査の結果、従来からの調達の電子化(EDI-VANが代表的)に加えて「ネット調達」が急速に進展していること、「ネット調達」利用を通じて、従来容易でなかった中小企業との連携やグローバルな調達が進み、またSCM(Supply Chain Management)との連携を目差す動きを把握できた。しかし一気に「ネット調達」にシフトしているわけではなく、主要企業の多くは既存のEDI-VANが中心で業界コンソーシアム型EDIやWeb-EDIを併用し、産業による利用の違い、注目される公開型の「電子調達」や「電子市場」などは試みの範囲にあることを示した。
 調達は、企業のモノ作り戦略を反映する。日米産業間での対応の差の背景には、時間・空間・コストに関する制約を大きく緩和する「ネット調達」は、従来の取引関係にこだわらず広くグローバルに新たな調達を進展する可能性があり、セットメーカー・サプライヤ間の密接な情報共有や技術の切磋琢磨を通じた調達を競争力の1要因としてきた日本のモノ作りになじまないのではないか、という懸念も見られる。しかし、「ネット調達」環境はモノ作りに不可欠な産業インフラであり、標準化への取組み、多様な「ネット調達」形態を部品の区分に即して選定・活用するノウハウの蓄積、「ネット調達」のメリットが関係する企業すべてにもたらされる仕組みの開発などの課題の解消によって、日本の取引関係を活かすモノ作り構築の可能性があり、現在は「ネット調達」利用メリットの模索が始まった段階である。エレクトロニクス産業、自動車産業における事例調査を通じて、今後、こうした課題の解消、業界コンソーシアム型EDIの構築や国の対応も必要であることを指摘した。