【コラム】技術革新と近未来のシナリオ
大西 昭郎
|
2019年7月12日
機械振興協会経済研究所 特任研究員 大西 昭郎
1. はじめに
2. 技術革新の加速
3. 何が起きているのか
情報技術の発展はネットの普及だけではない。もちろんネットの普及がその土台の一部であるが、膨大なデータを瞬時に処理するコンピュータの情報処理能力の進歩とも相まって、画像処理や自然言語処理、深層学習などを活用した人工知能の実用化が進み始めている。2014年にオックスフォード大学のオズボーン准教授らが著した「雇用の未来」によれば表1に示した仕事は10から20年後にはコンピュータにとって代わられてしまうという。
野村総合研究所(2015年12月2日)ニュースリリース
「日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に」により作成。
こうしたAIやロボットによる人の仕事の置き換わりは、日本のように人手不足が予想されるような社会では朗報にも聞こえるかもしれないが、AIやロボットに依存してしまうのも不安な気がする。インターネットの普及がサイバーセキュリティの懸念を惹起したことを思えば、どこまで革新的な技術に頼って良いのかというのは未知といっていいのではないか。
IoTの進展は、膨大なデータを生みだすことになる。ビッグデータという言葉がよく見かけられるようになったが、これまでに蓄積されてきたデータと、今後IoT機器を通じて集積されていくデータとを合わせると膨大な情報になる。そこには個人のプライバシーにかかわるものも含まれる。近年、犯罪捜査には監視カメラの映像解析が大いに役立っているが、これらのカメラもIoTの一部である。コンビニでは個人の顔情報を支払いの際の認証に使うという構想も進んでいる。お財布の中身の情報と個人の顔認証がデータとして紐付けられることになる。日常生活の活動記録やヘルスケア関連データもデジタルデータとしてクラウドに保存されていく。ここでもセキュリティの心配が頭をもたげてくる。これらのシステムを安心して使えるようになるまでには様々な課題が見つかり、また、対処がもとめられていくことになるだろう。
4. 20年後30年後にはどういう世界になるのか?
5. おわりに
1. http://iphone-mania.jp/news-201799/によれば2018年時点では全世界の人口76億人のうち53%に相当する40億人がインターネットに接続しているとのこと。
2. https://www.emc.com/leadership/digital-universe/2014iview/internet-of-things.htm Vernon Turner(2014):The Digital Universe of Opportunities: Rich Data and the Increasing Value of the Internet of Things, EMC Digital Universe with Research & Analysis by IDC.
3. https://www.ibm.com/security/data-breach Ponemon Institute (2018): 2018 Cost of a Data Breach Study: Global Overview, Benchmark research sponsored by IBM Security.
4. Ray Kurzweil (2005):The Singularity is Near: When Humans Transcend Biology, New York: Viking.
【了】
この著者のコラム・レポート
2022年02月10日 【コラム】「パンデミックにおける公衆衛生経済学と感染症予防の価値に関する国際共同研究―新型コロナ感染症の教訓、および、将来の危機に対する科学的根拠に基づく提言―」 |
この研究分野のコラム・レポート
2024年11月06日 |
2024年11月01日 |
2024年10月28日 |