ご挨拶
一般財団法人 機械振興協会 副会長
技術研究所長
西本 淳哉
令和6年7月に機械振興協会副会長・技術研究所長を拝命いたしました西本淳哉でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
これまで計測制御関係企業の研究開発担当役員として約10年勤めました。
それまで経済産業省で32年間、電子機器産業、航空宇宙産業、公益事業政策、輸入政策、地域政策、環境政策などに従事し、経産省全体の産業技術政策のとりまとめを担当しました。内閣府の初代宇宙審議官・宇宙戦略室長を務めるなど、官民併せて、一貫して産業技術政策に従事してまいりました。
半導体、車、家電などあらゆる製造業で圧倒的な国際競争力を誇った時代から、近年はインターネット、5G、AIなどデジタル技術で後塵を拝し、現在、日本の国際競争力は世界第38位とされています。(IMDレポート)
海外展開によって世界で活躍している企業はさておき(といってもこちらも厳しい競争環境にさらされていますが)、ものづくりの根幹を支える中堅中小企業は人材確保、技術の継承、後継者難など、さまざまな課題に晒されています。しかしながら、これら中堅中小のものづくり企業が日本の技術力を支えているのです。有力なアセンブリ企業もこれらの企業群の支えがなければ世界から評価される高品質を維持し続けることはできません。国際情勢の影響もあり、近年は国内回帰の動きが見えます。これを機会に、国内にしっかりした研究開発拠点やマザー工場の機能を残し、ここを拠点にイノベーションを生み出さなければなりません。
機械振興協会は昭和39年設立以来、日本の機械産業を支えてきています。様々な材料の加工状態をデータベース化した加工技術データファイルや、研磨に匹敵するような超精密な切削加工技術の開発、高精度な計測技術などはものづくりの基盤です。現在サービスを停止していますが、このようなものづくりの基盤は公的な機関が提供し続けていかなければなりません。
DX関係では、複数メーカのロボットや工作機械をネットワークでつなぐミドルウエアORiN(Open Resource interface for the Network)の開発に協力しました。現在、ORiNは国内外で87,000件をライセンスしています。
また、製造業の生産管理手法を農業に適用することで生産性を向上させる取り組みや、中堅中小の食品加工工場の自動化を専門家チームが一丸となって支援する取り組みなどを進めています。これらによってロボットの導入拡大やDXの社会実装拡大につながればと思います。
機械振興協会は今後とも関係の方々と密接に連携し、機械産業振興の結節点として、日本のものづくり力の強化に努めてまいります。