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技術研究所外部評価制度 詳細

平成21年 第7回技術研究所外部評価の結果のご報告

 平成21年9月16日(水)、第7回技術研究所外部評価委員会を開催(第102回技術研究所運営委員会と合同)いたしました。外部評価委員は委員長の松野建一日本工業大学教授工業博物館長をはじめとする産、官、学の計5名の方々でした。今回は平成22年度に実施予定の研究テーマを対象に事前評価として実施いたしました。
 以下に研究テーマに対する委員からのご提言、あるいはご質問と、それに対する研究担当者の対応を記載いたします。

 

(1)情報技術活用による生産現場支援に関する研究

(研究担当者:木村利明、日比野浩典)
委員からの提言・意見研究者側からの対応
[生産システムの品質向上を目指すシミュレーションに関する研究]

○現場の実物画像とシミュレーションとの差は出ないか、またその差により問題が発生しないか。

→その差を少なくすることが研究目標の一つであり、特に課題となる表面光沢、影回転方向などを検討の予定である。

○既存技術の活用は考えているか。

→CG分野での既存画像処理技術、ソフトの応用を考えている。

○シミュレータですべてをカバーできると考えているのか。出来ない領域をはっきり提示して欲しい。

→当然出来ないところがあると予想され、それを明確にすることも課題の一つと考えている。

[工作機械向け安全・運用支援の研究]

○多軸化を進める上で解決すべき課題の中でもプライオリテイの高いテーマであり、期待するところ大である。今後は工具形状を含めた対応、チルト軸頭の対応などの展開など、さらなる研究の推進強化を望む。

→工具形状について、これまで市販工具計測器を用いてきたが、ホルダ、工具種類認識までの拡張が必要と認識しており、さらに検討を進めたい。チルト軸頭については、3Dスキャナの設置位置の制約上、今回は対象から外している。今後の課題としたい。

総合評価計画通り実施可
 

(2)計測技術高度化に関する研究

(2-1)幾何形状測定の信頼性向上に関する研究

(研究担当者:大西 徹・高瀬省徳)
委員からの提言・意見研究者側からの対応

○真円度測定器の倍率校正方法に関して対象となっている方法(切欠標準)は始業点検に有効と認識しているが、公式には認められていない。ぜひ規格化に至るまでの研究を進めて欲しい。

→努力したい。

○真円度測定器は動的測定であり、その評価も可能なよう考慮して欲しい。

→検出器のみならず増幅器内部のフィルタ特性評価にも有効と考えている。

○三次元測定機の評価においては測定物のサイズ、テーブル上の固定位置などの影響も大きい。これらを評価に入れて欲しい。

→今後の検討に入れていきたい。
総合評価計画通り実施可
 

(2-2)微小表面領域の機械的特性の高度化に関する研究

(研究担当者:藤塚将行・山口 誠)
委員からの提言・意見提言、質問事項に対する対応等

○本研究の対象材料は何か。またセラミックスはその対象に入っているか。

→シリコンなどであるが、セラミックスも対象と考えている。

○セラミックスは他データとの比較が難しく苦労しているので、研究成果を期待している。

→期待に応えたい。

総合評価計画通り実施可
 

(2-3)工業用有機材料試験技術の高度化に関する研究

(研究担当者:川口聖司、天田勝正)
委員からの提言・意見研究者側からの対応

○実荷重下での赤外分析は興味あるがどのような変化、あるいは測定結果が期待できるか。また、その結果がどのように生かせるか。

→材料配向の変化や高分子鎖の化学反応が期待される。測定結果が製品開発や品質管理に生かせると期待している。

○種々の雰囲気下で特性が変化するのは当然であるが、どう定量化(例えば油脂だと濃度か、有無だけなのか)できるか。

→多変量解析などの計算手段により外部刺激を材料特性変化に対する寄与率として算出することを考えている。

総合評価計画通り実施可
 

(3)加工技術高度化に関する研究

(3-1)ガラス加工用バインダレスcBN工具の成形に関する研究

(研究担当者:飯塚 保)
委員からの提言・意見研究者側からの対応

○ダウンカットの方が面が良いのは常識であり、アップカットでも良い面が出るよう努力して欲しい。

→努力する。

○工具内部の結合材が問題であり、その分析などを行い、工具特性の調査をすべきである。

→今後、使用工具の結晶構造など工具特性の調査をしたい。

総合評価計画通り実施可
 

(4)生産環境のグリーン化に関する研究

(4-1)次世代冷却システムに関する研究

(研究担当者:田中清志)
委員からの提言・意見研究者側からの対応

○より大規模、例えば一般家屋へ適用した場合の問題点は何か。

→LHPの最大能力は10kw・m(1kWの熱を10m輸送)程度で大きくないと考えられる。したがって、太陽熱エネルギーの蓄熱装置への移動用、南北の部屋の温度の均一化、地熱利用による室内温度均一化のレベルである。

○最大のコスト課題は何か

→サーバ冷却への普及には1台あたり7万円以下とする必要があり、組み立て、溶接、液封入費用等の抑制が必要と考える。

総合評価計画通り実施可
 

(4-2)作動・潤滑油の環境負荷低減に関する研究

(研究担当者:五嶋裕之、川口聖司)
委員からの提言・意見研究者側からの対応

○気泡除去は問題として認識しているので、技研のような中立機関が実施するのは大いに意義がある。工業会としても協力したい。

→ぜひ協力をお願いする。

○気泡の弊害に関する理論的、定量的な解明はあるのか。

→定性的な報告、解説はあるが定量的なものはない。まずそこからスタートする必要があると考えている。

総合評価第1年度は調査中心とし目標評価内容を明確にすること。
 

(全体に対するコメント)

委員からの提言・意見研究者側からの対応

○安全率・信頼性という用語をいくつかの研究で用いているが、論理的背景を論ずるには定量的な指標が必要ではないか。

→すべてについて定量性を確保するためには膨大な実験が必要であり、限界がある。現状は定性的な範囲を主としたい。一部定量的データのあるものもあるが、そこから予測へ発展させるためにはいまだ検討の余地がある。機械系ではいまだに経験的数値を持って安全率を考えているところが多い。

いただきました貴重なご意見、ご要望等を踏まえ、今後の研究の遂行に生かして参ります。