機械製品に対する安全要求と設計方法
第20回 安全性評価・信頼性評価
安全性評価
安全性評価は、設計・製造・試験の各段階で、安全性設計評価と試験結果の評価を行う。
1. 安全性評価の基準
安全性評価の基準となるものは、各種仕様書であり、安全性評価の実施者は、必要な仕様書をベースに評価を行う。
2. 全性評価に必要なデータ
安全性評価を行うために、以下のデータが必要である。
① 安全性評価計画書
② 安全設計基準
③ 危険識別表
④ 危険解析表
⑤ 安全確認試験計画書
⑥ 試験手順書および試験データ
3. 安全性設計評価
3.1 評価の対象
安全性評価は、以下の内容について行う。① 装置の危険解析の正当性:危険識別表の危険要因抽出の妥当性
危険解析表の各項目と対策の妥当性
② 危険解析結果の安全設計基準への反映結果の妥当性
③ 装置の設計結果の安全性基準への適合性
3.2 評価実施者
安全性設計評価の実施者は、危険解析を実施した設計者の上位者および安全性管理責任者とする。
3.3 評価の時期等
設計の上位者が行う安全設計評価は、危険識別表および危険解析表を安全性部門に提出する前に行う。
安全性管理責任者が行う安全性設計評価は、設計審査前とし、その結果を設計報告書に反映する。
4. 試験および試験結果の安全性評価
安全性に関する試験としては、安全性確認試験とその他の試験(耐環境性試験および性能確認試験等のうち安全性に関連する試験)である。
4.1 評価の対象
試験および試験結果の安全性評価は、安全性確認試験およびその他の試験に対して行う。安全性試験については、安全性データ取得計画、実施および結果についてその適合性を評価する。その他に試験については、試験の合格を確認することで評価する。
4.2 評価実施者
安全性確認試験の安全性評価は、安全性管理責任者が行う。その他の試験結果の安全評価は、試験計画を作成した部門の上位の者が行う。
4.3 評価の時期
試験および試験結果の安全性評価は、試験終了後に行う。
安全性確認試験の結果の評価内容は、安全性確認試験報告書に反映する。
5. 安全性活動評価
安全性活動評価は、安全性計画とその実施の適合性を評価するものでありる。以下、評価の対象、評価実施者および評価時期を示す。
5.1 評価の対象
安全性活動評価の対象となるものを以下に示す。
① 安全性計画の適合性
・安全性管理組織
・活動スケジュール
・安全設計基準設定手順
・危険解析手順
・安全性確認試験手順
・安全性データと取得
② 安全性計画の実施状況
①に示す項目の確認
③ 評価結果の適用とその確認状況
5.2 評価実施者
安全性活動の評価は、安全性管理責任者が行う。
5.3 評価の時期等
安全性管理責任者は、各設計の終了時に安全性活動の評価を行い、結果を設計審査会報告書に反映する。
5.4 安全性評価の手法
安全性評価のチェックリストを表1に示す。評価の実施者は、必要なチェック項目を適宜追加し漏れのない評価を実施する。
表1 安全設計評価チェックリスト
5.5 評価結果の反映
安全性評価の決定は、設計審査会の報告書に含め、次段階の製造および試験さらに次フェーズの安全性活動に反映する。
信頼性評価
信頼性評価は、設計・試験終了の各段階で、製品の信頼性を確保し、評価するために行う。信頼性評価の評価項目を表2に示す。
表2 信頼性評価項目の実施