機械製品に対する安全要求と設計方法
第18回 設計審査
1.概要
設計審査は、開発の各段階において設計結果が設計要求を満足していることを確認し、次の段階に進めるかを審査するものです。設計審査は、設計品質維持の為に重要な活動でありますが、すべての問題を漏れなく抽出できるわけではありません。そのため、通常の設計活動が確実に行われ、組織のラインによるチェックが機能してこそ効果が得られるものです。
設計審査会は、社内で開発・生産スケジュールの進捗に同期して恒常的に実施されます。さらに、この審査会に客先が参加して、その要求と契約に基づいて行う場合もあります。
設計審査と製品開発のマイルストーンの関係を図1に示します。
図1 製品開発マイルストーン
2.設計審査
2.1 要求分析審査会
設計に着手する前に、開発コンセプト、設計の構想および方針に誤りがないことを確認するために行います。要求を分析し、設計方針、実現性を明確にし、既設計と開発要素の切り分けや要求実現のためのハードウェアとソフトウェアの分担を明確にします。
2.1.1 出席者
(1)設計者
製品の設計者と設計責任者は、図1に示すマイルストーンで審査会を実施すべき時期に、社内の関係部門に対して開催通知を発行します。設計者は資料の準備、説明および質疑応答に対する回答を行います。さらに、審査会の報告書を作成し、関係部へ配布します。審査会報告書で明確にされた要処置事項(A/I)をフォローします。
(2)設計責任者
設計責任者は、審査会の開催・進行、審査結果の総括をするとともに、審査会報告書の承認を行います。
(3)審査委員
審査委員は、審査会に参加し各々専門の立場で設計の審査を行い、必要な質問と指摘を行います。また必要な場合、問題解決に対する助言、勧告を行います。審査委員には「設計」「生産技術」「信頼性品質保証」「工程管理」「製造」「検査」「営業」の部門を含みます。
2.1.2 審査会資料
- 開発構想説明資料(スケジュール、体制、開発・設計・製造・検証計画)
- 客先仕様書
- インターフェース管理仕様書
- 製造品目一覧表
2.1.3 審査会報告書
- 設計者は、表1に示す審査会報告書を作成します。
- 設計者は設計責任者の承認を受けた後、各部門に報告書を配布し、原紙を保管します。
- 設計者は要処置事項を処置期限までに処理します。処置完了後、設計責任者は、確認欄に署名します。
- 信頼性品質保証部は、配布された完了報告書を採番し保管します。
表1 審査会報告書
2.2 設計完了審査会
設計結果を確認し、製造図面の作成に進むことができることを確認します。
2.2.1 出席者
2.1.1と同じ
2.2.2 審査会資料
- 設計仕様書
- Interface Control Drawing(ICD)
- 設計値/仕様値対照表
- 回路図/部品表
- 検証マトリックス
- 製造フロー
- 解析資料(電気、制御、構造、熱、ソフトなど)
2.2.3 審査会報告書
2.1.1と同じ
2.3 製造図面完了審査会
要求にしたがって設計と製造図面が完成しており、製造に進むことができることを確認します。
2.3.1 出席者
2.1.1と同じ
2.3.2 審査会資料
- 設計仕様書
- 製造図面
- Interface Control Drawing(ICD)
- 設計値/仕様値対照表
- 設計チェックリストによる確認結果
- 試験仕様書
- 製造フロー
- 解析資料
- 製造設備、試験設備の概要
2.3.3 審査会報告書
2.1.1と同じ