-トップ事象とは?- | |
市販されている製品には、使用者の立場からさらには製造者の立場から「もっとも起こっては困る」ことがあります。この起こっては困る事象を「トップ事象」と呼んでいます。例えば、「使用者が怪我をする」、「製品が故障する」等が挙げられます。 |
-トップ事象設定の目的- | |
FT図は1つのトップ事象を対象に作られます。そのため、どのような事象をトップ事象とするかが、FT図を展開し、事故や故障の原因を推定するうえで非常に重要です。 FTAの目的は、信頼性及び安全性を損なうような「望ましくない事象」をなくすために、FT図を用いてその原因を探り当て、対応処置を見つけることにあります。 複雑で大規模なシステムでは、このような「望ましくない事象」は数多く存在します。FTAは各トップ事象ごとの解析手法であるため、考えられる全ての事象をトップ事象とすると、かなりの数のFT図を作ることになります。そのため、この作業に要する時間と人員は膨大なものとなってしまいます。したがって、このFTA解析から十分な対策を導くためには、最適なトップ事象を選択する必要が不可欠です。 | |
-トップ事象の分類と条件- | |
一般に、システムの信頼性及び安全性を損なう「望ましくない事象」は無限に存在します。まず、その事象を被害の大きさに応じて分類し、どの分類レベルの事象を解析していくかを決めることが重要であります。この分類は、安全性に関する事象では、「1.2.2項のFMEAシートの作成方法」の「FMAEシート中のリスクレベル」を、信頼性に関する事象では、「1.3.2項のFMEAシートの作成方法」の「FMEAシート中の単一・致命的な故障」を基に行うと良いでしょう。 |
一方、トップ事象としては、下記の条件を備えていることが必要です。 |
1. | 望ましくない事柄 |
| (例:・・・・の喪失) |
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2. | 明確に識別できる(目に見える)事柄 |
| (例:ストーブが点火しない) |
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3. | 下位事象を包括した、具体的な事柄 |
| (例:回転体の破損→下位事象の使用材料の劣化) |
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4. | 製品の設計(構造設計、熱設計、電気設計、安全設計、信頼性設計)で対応可能な事柄 |
| (例:回転体の破損→構造設計での強度不足、電源コードの発熱→電気設計での絶縁不足) |
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-トップ事象の例- | |
トップ事象で取り上げる事柄としては、若干抽象的ですが以下のものが挙げられます。 |
1. | 安全関連 :人体の損傷、機能の喪失、死亡等 |
| (爆発、破損、飛散、落下、衝撃、爆発、火災、感電、高電圧、ショート、漏電、発火、漏水、漏油、ガス漏れ、ヒューマンエラー等による) |
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2. | 信頼性関連:製品の機能の喪失、誤動作、寿命、および部品の劣化、材料の強度不足等 |
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