故障の影響解析(FMEA)と、故障の木解析(FTA)の活用 詳細
−演習(オーブントースター、電気シェーバー、石油ファンヒーター)−
演習目的
製品の信頼性を確保する手段としてFMEAが有効であることは、既に説明しました。ここでは演習を通して、みなさんが抱えている事例に対しFMEAを活用できるようになることを目的としています。
今回は、身近にある「オーブントースター」、「電気シェーバー」、「石油ファンヒーター」の例を挙げました。
オーブントースター |
電気シューバー |
石油ファンヒーター |
演習:オーブントースターのFMEAシートの作成
下記に示す展開図、回路を参考に、私たちが日常使用しているオーブントースターのFMEAシートを作成して ください。作業は、「危険の程度」として「火傷」、「電気ショック」、「発火」を想定し、「危険の原因」、「危険の影響」、「調べ方」、「防ぐ方法」の順でFMEAシートを完成しましょう。第2、3回の解説を参考に進めることがポイントです。
図 オーブントースター展開図 |
図 3段切替式オーブントースターの回路 |
演習:オープントースターのFMEAシート
オーブントースターの構成と機能を考えて、機能ブロック図を作成してください。次に、機能ブロック図から、制御信号、および電力の故障を考えて信頼性ブロック図を作成し、故障モード(状態)を抽出する。次に、FMEAシートを完成させる。
演習:オープントースターのFMEAシート
オープントースターのFMEAシートを作成してください。1.3.3項のFMEAワークシートの作成手順を参考に!!!
項番 | 機器名 | 機能 | 故障の状態 | 故障の原因 | 故障の影響 | 影響度 | 単一・致命的な故障 | 調べ方 | 防ぐ方法 | 防止対策処置の確認 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | タイマー | 加熱時間の調整 | スイッチが入らない | 物理的な動作不良 | 加熱できない | 致命的 | 単一故障 | 故障時の導通チェック | ・製造時の検査 ・取扱い説明書による適正な使用方法の喚起 |
対策実施の有無を記入する |
スイッチが切れない | タイマー機能の喪失 | 過熱される | 重大 | 単一故障 | 故障時のタイマーのチェック(動作音) | ・製造時の検査 ・取扱い説明書による適正な使用方法の喚起 |
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2 | スイッチA,B,C | 加熱強度の調整 強:A,B,C-ON 中:A,C-ON 弱:C-ON |
オープン | 異常加熱等による断線 | 加熱できない | 致命的 | - | 故障時の導通チェック | ・製造時の検査 | |
ショート | 水分等の侵入による短絡 | 過熱される | 重大 | - | 故障時の導通チェック | ・製造時の検査 ・取扱い説明書による適正な使用方法の喚起 |
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3 | ダイオード,コンデンサー | 電流量の調整 | オープン | 部品の劣化に等による機能喪失 | 加熱量調整機能(弱)の喪失 | 限界 | - | 故障時の導通チェック | ・製造時の検査 | |
4 | 制御器 | 異常時の温度上昇防止 | コントロール不能 | 制御基板の故障 | 過熱される | 重大 | 単一故障 | 故障時の導通チェック | ・製造時の検査 | |
5 | 上・下ヒーター | 対象物の加熱 | オープン | 異常加熱等による断線 | 加熱できない | 重大 | - | 故障時の導通チェック | ・製造時の検査 ・取扱い説明書による適正な使用方法の喚起 |
演習:電気シェーバーのFMEA
下記に示す展開図、回路を参考に、私たちが日常使用している電気シェーバーのFMEAシートを作成してください。作業は、「危険の程度」として「怪我」、「火傷」、「電気ショック」を想定し、「危険の原因」、「危険の影響」、「調べ方」、「防ぐ方法」の順でFMEAシートを完成しましょう。第2、3回の解説を参考に進めることがポイントです。
図 電気シェーバのー展開図 |
図 電気シェーバーの回路 |
電気シェーバーのFMEAシート
電気シェーバーの構成と機能を考えて、機能ブロック図を作成してください。次に、機能ブロック図から、制御信号、および電力の故障を考えて信頼性ブロック図を作成し、故障モード(状態)を抽出する。次に、FMEAシートを完成させる。
演習:電気シェーバーのFMEAシート
電気シェーバーのFMEAシートを作成してください。1.3.3項のFMEAワークシートの作成手順を参考に!!!
項番 | 機器名 | 機能 | 故障の状態 | 故障の原因 | 故障の影響 | 影響度 | 単一・致命的な故障 | 調べ方 | 防ぐ方法 | 防止対策処置の確認 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | プラグスイッチ | 外部電源から電池への充電 | スイッチの破損 | 取扱い不注意 | 充電機能の喪失 | 重大 | 単一故障 | 故障時の動作チェック | ・製造時の検査 ・取扱い説明書による適正な使用方法の喚起 |
対策実施の有無を記入する |
スイッチ固着 | 異物の混入,外力による変形 | 充電機能の喪失 | 重大 | - | 動作時の動作チェック | ・製造時の検査 ・取扱い説明書による適正な使用方法の喚起 |
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2 | 電池 | モータ駆動の動力源 | 液漏れ | 長時間の不使用 | 髭剃り機能の低下 | 重大 | 単一故障 | 故障時の導通チェック | ・製造時の検査 ・取扱い説明書による適正な使用方法の喚起 |
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3 | 制御器 | 充電モーター回転制御 | 髭剃り刃の回転異常 | 充電制御回路の故障 | 髭剃り機能の低下 | 限界 | - | 故障時のモーター回転チェック | ・製造時の検査 | |
モーター制御器の故障 | 髭剃り機能の低下 | 限界 | - | 故障時のモーター回転チェック | ・製造時の検査 | |||||
4 | メインスイッチ | 電源の投入 | スイッチの破損 | 取扱い不注意 | 髭剃り機能の喪失 | 致命的 | 単一故障 | 故障時の動作チェック | ・製造時の検査 ・取扱い説明書による適正な使用方法の喚起 |
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スイッチ固着 | 異物の混入,外力による変形 | 髭剃り機能の喪失 | 致命的 | - | 故障時の動作チェック | ・製造時の検査 ・取扱い説明書による適正な使用方法の喚起 |
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5 | モータ組立 | 髭剃りの動力、刃を回転させる | 断線 | 線材または接合不良 | 髭剃り機能の喪失 | 致命的 | - | 故障時の動作チェック(動作音の確認) | ・製造時の検査 ・取扱い説明書による適正な使用方法の喚起 |
演習:石油ファンヒーターのFMEAシート
下記に示す構造図を参考に、私たちが日常使用している石油ファンヒーターのFMEAシートを作成してください。作業は、「危険の程度」として「中毒」、「火傷」、「電気ショック」、「怪我」を想定し、「危険の原因」、「危険の影響」、「調べ方」、「防ぐ方法」の順でFMEAシートを完成しましょう。第2、3回の解説を参考に進めることがポイントです。
図 石油ファンヒーターの構造図演習:石油ファンヒーターのFMEA
石油ファンヒーターの構成と機能を考えて、機能ブロック図を作成してください。次に、機能ブロック図から、制御信号および電力の故障を考えて信頼性ブロック図を作成し、故障モード(状態)を抽出する。次に、FMEAシートを完成させる。
演習:石油ファンヒーターのFMEAシート
石油ファンヒーターのFMEAシートを作成してください。1.3.3項のFMEAワークシートの作成手順を参考に!!!
項番 | 機器名 | 機能 | 故障の状態 | 故障の原因 | 故障の影響 | 影響度 | 単一・致命的な故障 | 調べ方 | 防ぐ方法 | 防止対策処置の確認 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | スイッチ | 電源の投入 | スイッチの破損 | 取扱いの不注意 | 電源の投入ができない | 致命的 | 単一故障 | 故障時の動作チェック | ・製造時の検査 ・取扱い説明書による適正な使用方法の喚起 |
対策実施の有無を記入する |
スイッチ固着 | 異物の混入,外力による変形 | 電源の投入ができない | 致命的 | - | 故障時の動作チェック | ・製造時の検査 ・取扱い説明書による適正な使用方法の喚起 |
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2 | 制御器 | 異常時の温度上昇防止 | 燃焼制御不能 | 制御基板の故障 | 過熱される | 致命的 | 単一故障 | 故障時の導通チェック | ・製造時の検査 ・取扱い説明書による適正な使用方法の喚起 |
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3 | 燃料タンク | 燃料の保管と供給 | 燃料漏れ | キャップの閉め忘れ | 燃料に引火し火災を起こす | 致命的 | - | キャップ閉時の液漏れチェック | ・製造時の検査 ・取扱い説明書による適正な使用方法の喚起 |
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4 | 燃焼室 | 空気を混入させて燃料を燃焼させる | 異常燃焼 | 燃料と空気の混合不十分 | 長時間燃焼で一酸化段素中毒 | 致命的 | - | 燃焼色の確認 | ・製造時の検査 ・一定時間での換気の実施 |
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5 | モーター | 送風ファンを回転させる | 断線 | 線材または接合不良 | 送風機能の停止 | 重大 | - | 故障時のチェック(動作音の確認) | ・製造時の検査 ・取扱い説明書による適正な使用方法の喚起 |
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6 | 送風ファン | 燃焼空気を循環させる | 回転異常 | 異物の混入,外力による変形 | 送風機能の低下 | 限界 | - | 故障時のチェック(動作音の確認) | ・製造時の検査 ・取扱い説明書による適正な使用方法の喚起 |