故障の影響解析(FMEA)と、故障の木解析(FTA)の活用 詳細
機能ブロック図と信頼性ブロック図
装置の構成を基に、機能ブロック図と信頼性ブロック図を作成します。さらに、信頼性ブロック図を基に、装置の各ブロック毎の故障モード(状態)を全て洗い出していきます。この洗い出しに関しては、次回の「FMEAワークシートの作成方法」で解説します。
機能ブロック図は、装置を構成している部品間の機能(機械的、電気的、熱的)のつながりを示しています。機能ブロック図は、装置の仕様と製造図面を基に作成します。
一方、信頼性ブロック図は、装置を構成している部品間の故障のつながり(機能の未接続状態)を示しています。そのため、装置に使用されている部品が故障したときに、装置に与える故障の影響を調べる場合に有効です。さらに、信頼性ブロック図には、(1)装置の構成単位を明確にし、単一故障点を明らかにする、(2)構成単位の個々の機能、結合状態を明らかにする利点があります。
信頼性ブロック図は、直列系と並列系により構成されています。直列系は、装置を構成する要素のうちどれか1個でも故障すると、装置としての機能が失われる場合です。一方、並列系は、装置を構成する要素が最初から全て稼動しており、それらが全て故障したときに、装置の機能が失われる場合です。以下に、直列系と並列系の信頼性ブロック図を示します。
図 直列系 |
図 並列系 |
衛星通信システムの装置の構成を基にした、機能ブロック図、および信頼性ブロック図の作成方法を以下に示します。
装置の構成
通信衛星システムは、通信用の「アンテナ」、アンテナ駆動のための「駆動モータ」、故障時対応として冗長構成を考慮した通信用の「無線機1」「無線機2」、データの取得と各機器の制御のための「制御装置」、および各機器への電力供給の「電源」から構成されています。
機能ブロック図の作成方法
装置の構成で示された機器は、データと制御信号、および電力により結び付けられています。「アンテナ」「駆動モータ」「制御装置」「電源」が直列につながり、冗長構成である「無線機1」「無線機2」が、「アンテナ」「制御装置」「電源」にそれぞれつながる機能ブロック図が作成されます。
信頼性ブロック図の作成方法
次に、信頼性に関しては、機能ブロック図を基にデータと制御信号、および電力の故障を考えて作成します。「電源」「制御装置」「駆動モータ」「アンテナ」が直列につながり、冗長構成の「無線機1」「無線機2」が「電源」と「制御装置」の間に並列につながる信頼性ブロック図が作成されます。
装置の構成
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