機械安全のための規格と法律、設計方法の紹介 詳細
第11回 労働安全法、PL法
労働安全法
日本の労働安全法の体系は下図に示すように「法律」「令/規則」「基準・規程・規格・指針」等からなっています。
PL法
製造物の欠陥が原因で消費者に損害を発生させた場合に、製造者・販売者の賠償責任を規定した法律には以下の3つがあります。
1.契約上の責任(債務不履行責任)
売主が契約条件に合わない製品を販売し、消費者が損害を受けた場合、売主が損害賠償を行う。
2.過失責任(不法行為責任)
加害者が危険に対しての安全対策を怠ったことにより被害者に損害を与えた場合、加害者が損害賠償を行う。
3.製造物責任(PL:Product Liability)法
機械などの製造物の欠陥が原因で消費者に損害を発生させた場合、 製造者・販売者が損害賠償を行う。
PL法は上記1、2の法律と異なり「加害者と被害者との当事者関係が不要」「被害者が加害者の過失の立証が不要」であり、「製品の欠陥の存在を証明」すればよいのです。
ここで、PL法の要点を以下に示します。
1.法律の目的(第一条)
製品の欠陥により消費者に損害を与えた製造業者の責任を定め、消費者の保護を目的とする。
2.製造物の定義(第二条)
「製造物」とは、製造または加工された動産をいう。家屋等の不動産、未加工の農林水産、サービスは除く。
3.欠陥の定義(第二条)
「欠陥」とは、製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう。
4.製造業者の定義(第二条)
(1)製造物を製造、加工、または輸入した者。
(2)製品に製造業者、あるいはそのような表示をした者。
(3)製品に製造業者と認められる表示をした者。
5.製造物責任(第三条)
上記製造業の製品により損害を受けた場合、この損害の賠償を行う。
6.免責事由(第四条)
(1)製品の出荷時点で、科学・技術に関する知見によって製品の欠陥を認識できなかったこと。
(2)製品の製造者の指示(設計)により、供給した部品・材料に欠陥があった場合、供給業者の過失はない。
7.期間の制限
損害と賠償義務者を知ってから3年、製品の引渡しから10年のいずれか早い時期。