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過去の事例 詳細

火星探査機の炎上

【誤判断による事例:しっかり確認することが大切です!!】



DVDをレンタルして洋画を楽しんでいるとき、画面がきれいに写らず機器間のインターフェース(相互の接続状態)が悪いと感じたことはないでしょうか。このインターフェースが悪いためにとんでもない不具合が起きる事があります。マーズ・クライメール・オービターは、1998年12月に火星の地形、水の分布等の取得を目的として打上げられました。1999年9月に火星を周回する軌道に投入されましたが、通信が途絶えました。これは、軌道制御エンジンの推力が所定の20%程度しか出なかったため、投入軌道が予定より低く、火星の大気による加熱により炎上されたと結論づけられました。推力計算は製造会社から「ポンド・秒」で提出されていましたが、NASA側が「ニュートン・秒」として処理したため推力値に違いが生じたものと判明しました(1ニュートン・秒=0.225ポンド・秒)。壮大なプロジェクトも、使用単位系の不十分な確認といったささいなミスで吹き飛んでしまったというわけです。

設計の初期の段階で要求を確実に設計条件として明記すべきです。さらに、不明確な点はそのままにせず、必ずお互いの理解を一致させることが大切です。こまめなインタフェースの確認が重要なのは男女関係だけではありません!!

(出典:失敗知識データベース、http://www.sozogaku.com/fkd/

図 マーズ・クライメール・オービターの外観